ホンダV3電動ターボ、ネイキッド・アドベンチャーも視野に? 新動画が示唆

ホンダが公開した最新のティザー動画「New V3 Engine Concept Teaser」が、二輪業界で大きな注目を集めています。これまでスーパースポーツモデルへの搭載が有力視されてきたホンダの革新的なV3電動ターボエンジンが、この短い動画によって、ネイキッド、クルーザー、アドベンチャーといった幅広いカテゴリーへの展開を示唆しているからです。これは、単なるエンジンの発表にとどまらず、ホンダが目指す次世代のモーターサイクル像を垣間見せるものとして、多くのライダーやメディアの関心を惹きつけています。

ホンダV3電動ターボとは? 革新の電動過給機搭載

ホンダが公式Youtubeで公開したV3電動ターボのティザー動画の冒頭シーンホンダが公式Youtubeで公開したV3電動ターボのティザー動画の冒頭シーン

昨年秋にその存在が初めて明らかになったホンダの「電動過給機付き新型V型3気筒エンジン」は、バイク用としては世界で初めて電動コンプレッサーを搭載する画期的なパワーユニットです。ホンダがV型3気筒レイアウトのエンジンを発表するのは、1985年のNS400R以来、実に約40年ぶりのこととなります。この新型エンジンは、低回転域からでも力強く、かつレスポンシブな出力特性を実現できる点が最大の特長とされています。

今年1月の二輪事業説明会では、ホンダ二輪事業統括部長である加藤氏が、既に熊本工場でこのエンジンを搭載した実車に乗ったと発言し、開発の進捗状況を示しました。さらに、3月のモーターサイクルショーで展示されたV3電動ターボは、現状の車体がダミーであり、実際の走行テストは別の車両で行われていることも明かされています。このことから、開発は着実に進行しており、実用化に向けた最終段階にあることがうかがえます。

多様なカテゴリーへの展開を示唆するティザー動画

モーターサイクルショーで展示されたホンダV3電動ターボのモックアップエンジン。現在の車体はテスト用のダミー。モーターサイクルショーで展示されたホンダV3電動ターボのモックアップエンジン。現在の車体はテスト用のダミー。

8月にホンダが公式YouTubeチャンネルで公開した「New V3 Engine Concept Teaser」と題された50秒の短い動画は、V3電動ターボの将来について非常に示唆に富む内容を含んでいます。動画の冒頭では、CRF1100Lアフリカツイン、CBR1000RR-R、CB750ホーネット、XL750トランザルプ、X-ADV、そしてレブル1100といった、現在ホンダがラインナップする多様な大排気量モデルが次々と登場します。

さらに、これらのモデルで採用されているDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)や、最近注目を集めているE-クラッチといった先進的なアシスト機構の映像も映し出されます。これは単に既存モデルを紹介しているだけではなく、「走行テストは別の車両で行っている」というこれまでの情報と合わせると、V3電動ターボがスーパースポーツに限定されず、ネイキッド、アドベンチャー、クルーザーなど、あらゆるジャンルのバイクに搭載されうる汎用性の高さを持っていることを強く暗示していると考えられます。特に、DCTモデルしか存在しないX-ADVが登場したことは、もしV3電動ターボがこのジャンルに投入されるとすれば、DCTの採用が不可避となる可能性を示唆しています。

結論

今回のティザー動画は、ホンダのV3電動ターボエンジンが、その革新的な性能をスーパースポーツだけでなく、多岐にわたるモーターサイクルカテゴリーへと展開する可能性を示唆するものです。電動過給機によるハイレスポンスな出力特性と、DCTやE-クラッチといった先進技術との融合は、今後のホンダ製バイクの多様な進化を予感させます。この新エンジンの登場は、ライダーにこれまでにない新たな選択肢と走行体験をもたらすことでしょう。ホンダがV3電動ターボを搭載した最初のモデルをいつ、どのような形で発表するのか、今後の続報に期待が高まります。