近年、20歳前後の若者を中心に、政治、特に「外国人」を巡る議論や排外主義、そして参政党の躍進といったテーマへの関心が高まっています。これは、これまで日本の社会で感じられたことのない新たな空気であり、彼らが抱く疑問や関心は、現代社会の重要な一面を浮き彫りにしています。本記事では、この夏の参議院選挙で顕在化した、保守王国群馬における「異変」に焦点を当て、外国人住民の増加と政治意識の変化、そして「共生」の現状を探ります。
群馬の「保守王国」に起きた異変
長きにわたり自民党の牙城として知られてきた群馬県は、参議院選挙群馬選挙区において常に自民党候補が議席を獲得してきました。しかし、この夏の選挙では、自民党の清水真人氏が当選したものの、参政党の青木ひとみ氏が約2万8000票差にまで迫るという異例の事態が発生しました。さらに注目すべきは、参政党の青木氏の得票数が、自民党の清水氏を上回った自治体が複数存在した点です。
この現象を詳細に分析すると、特にその中で【伊勢崎市】【太田市】【前橋市】の3つの自治体が際立っています。これらは群馬県内で外国人の住民が最も多い上位3都市であり、近年急速に外国人人口が増加している地域です。例えば伊勢崎市では、市民の約8%に当たる1万7000人もの外国人が暮らしており、このような地域で参政党への支持が集まったことは、群馬という保守王国における新たな「異変」として注目に値します。
多文化共生の現場:伊勢崎市の現実
参政党の躍進が見られた伊勢崎市を訪れると、その街並みは多様な文化が交錯する現実を物語っています。英語だけでなく、ベトナム語、ポルトガル語、タイ語など、様々な言語の看板が目に飛び込んできます。街の中心部には、イスラム教徒の礼拝堂である「モスク」も存在します。
群馬県伊勢崎市の活気ある街並み、多様な言語の看板が並ぶ
20年ほど前に設立された「伊勢崎モスク」は、インドネシア人やパキスタン人を中心に多くの信者が訪れ、金曜日の集団礼拝時には200人もの人々が集まることがあります。時には建物内に入りきらず、路上で祈りを捧げる姿も見られます。伊勢崎モスクに通う一人、パキスタン出身のリズワン・ウル・ハック氏は、28年前に来日し、現在はカレー店を営んでいます。彼のような在日外国人の存在は、伊勢崎市の日常風景の一部となっています。
結び:共生社会への問いかけ
今回の参議院選挙における群馬県の結果は、外国人住民の増加が地域社会にもたらす影響と、それに対する住民の意識の変化を浮き彫りにしました。特に参政党の「日本人ファースト」といった主張への関心の高まりは、多文化共生が進む中で、地域社会が直面する課題や複雑な感情を反映していると言えるでしょう。この「共生の現在地」が、今後日本の政治や社会にどのような議論をもたらすのか、その動向を注視していく必要があります。
参考文献
- Yahoo!ニュース / TBS NEWS DIG (2025年8月17日掲載)