米ロ首脳会談、中止された昼食メニュー「ハリバット・オリンピア」が明かす外交の舞台裏

米アラスカ州アンカレッジで開かれた米ロ首脳会談で、予定されていた両首脳の昼食が会談決裂により中止されたことが明らかになりました。しかし、その際に用意されていた素朴なアラスカ郷土料理のメニューが公開され、様々な反響を呼んでいます。この意外な選択は、外交の舞台裏に隠されたメッセージと、アラスカ地域の特色を色濃く反映していました。

準備された意外なメニューとその背景

米公共ラジオNPRが米国務省の会談準備文書から入手し、ニューヨーク・タイムズ(NYT)が報じたところによると、ドナルド・トランプ米大統領とウラジーミル・プーチン露大統領を含む会談参加者向けに、サラダ、メイン料理、そしてクレームブリュレのデザートを含むコース料理が準備されていました。

特に注目されたのが、メインメニューに含まれていたフィレミニョンステーキと、アラスカの代表的な魚料理「ハリバット・オリンピア」です。ハリバット・オリンピアとは、オヒョウの一種であるハリバットの身をマヨネーズソースで包み、炒めた玉ねぎや細かく砕いたクラッカーなどをトッピングしてオーブンで焼き上げた料理です。

太平洋オヒョウ(パシフィック・ハリバット)などのカレイ類は、アラスカとロシアの間の北太平洋で豊富に水揚げされることから、このメニューは両国の地理的な近隣関係を強調するために選ばれたと解釈されています。NYTによると、アラスカの住民の間では地域ごとにレシピが異なるほど、この料理への愛着が深いとされています。

「国家トップ級行事」にふさわしくない? 専門家の見解

アラスカで料理雑誌を発行するジェレミー・パタキ編集長は、「アラスカとロシアの間の海で何が獲れるかを想像すれば、当然オヒョウだ」と、メニュー選定の自然な流れを説明しました。

米ロ首脳会談、中止された昼食メニュー「ハリバット・オリンピア」が明かす外交の舞台裏

アラスカ州での米ロ首脳会談後、共同記者会見に臨むトランプ大統領とプーチン大統領

しかし、パタキ氏は同時に、「カジュアルでレトロな雰囲気があり、味も良いが、高級料理と言えるものではないため、国家トップ級の国際行事のメニューとしては驚きだ」とも述べ、その意外性を指摘しました。この発言は、首脳会談という厳粛な場に、親しみやすい家庭料理が選ばれたことに対する専門家としての見解を示しています。

会談決裂と昼食中止の経緯

トランプ氏とプーチン氏は15日にアラスカで顔を合わせ、ウクライナ戦争終結に向けた方策について約3時間にわたって議論を交わしました。しかし、会談は特段の合意に至ることなく決裂。これに伴い、会談後に予定されていた昼食会も中止となり、準備されたアラスカ郷土料理が提供されることはありませんでした。この結果は、複雑化する国際情勢と米ロ関係の難しさを改めて浮き彫りにしました。

まとめ

米ロ首脳会談の場で幻となった昼食メニュー「ハリバット・オリンピア」は、単なる料理以上の意味を持っていました。それは、アラスカとロシアの歴史的な結びつきと、外交の場でさえも予期せぬ要素が影響を及ぼす可能性を示唆しています。結果として提供されなかったものの、この郷土料理の存在は、国際政治の舞台裏に広がる人間ドラマの一端を垣間見せる興味深いエピソードとして記憶されることでしょう。


参考文献

  • 米公共ラジオNPR
  • ニューヨーク・タイムズ (NYT)
  • 聯合ニュース (AP)
  • JoongAng Ilbo (韓国中央日報)