15日の米露首脳会談を巡り、ロシアへの割譲が「和平」の条件に挙げられたウクライナ東部ドンバス地域は、同国の鉱床として知られる。プーチン露大統領は「何世紀にもわたるロシアの拠点」と領有権を主張している。
ドネツク、ルハンスク両州で構成されるドンバスは、石炭や鉄鉱石、レアメタル(希少金属)など鉱物資源が豊富。ロシア系住民が多く居住し、露側は「第二次世界大戦でソ連軍がナチスドイツから解放した」と宣伝する。
2014年のウクライナ親露派政権の崩壊に伴い、親露派武装勢力が自治権を求めてウクライナ軍との戦闘を開始。ロシアは22年の全面侵攻の際、ドンバスの住民保護も理由に挙げ、現在までにルハンスク州のほぼ全域とドネツク州の約7割を占領した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ドネツク州では露軍との戦闘が続いており、無条件の割譲には応じられないとの立場を示してきた。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、会談でプーチン氏は、未制圧地域を含むドンバス割譲の交換条件として、南部ザポリージャ、ヘルソン両州で占領地域をこれ以上、拡張しないことを提案した。露側は両州を、併合済みの南部クリミア半島と露本土をドンバス経由で結ぶ「陸の回廊」の一部として重視してきた。(時吉達也)