クエンティン・タランティーノ監督、自身の「最高傑作」と「お気に入り」を語る

ハリウッドを代表する映画監督、クエンティン・タランティーノ氏(62)が、自身のキャリアにおける「最高傑作」と「一番お気に入りの映画」について初めて公に言及し、大きな話題を呼んでいます。彼のファンはもちろん、映画界全体が注目するその発言は、アカデミー賞受賞作とは異なる意外な作品でした。

クエンティン・タランティーノ監督のポートレート。彼が自身のキャリアと作品について語る様子を象徴。クエンティン・タランティーノ監督のポートレート。彼が自身のキャリアと作品について語る様子を象徴。

アカデミー賞受賞作と異なる評価

タランティーノ監督はこれまで、脚本家として「パルプ・フィクション」(1994年)と「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012年)の2作品でアカデミー賞を受賞しています。しかし、驚くべきことに、彼自身はそのどちらも自身の最高傑作や一番好きな映画とは考えていないと明かしました。この発言は、長年のファンや批評家たちの間で議論を巻き起こすことでしょう。

最高傑作は『イングロリアス・バスターズ』、最新お気に入りは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

監督が15日に公開されたポッドキャスト番組で語ったところによると、彼が自身の「最高傑作」と考えるのは、ブラッド・ピット主演の「イングロリアス・バスターズ」(2009年)であるとのことです。さらに、「一番のお気に入り」として挙げたのは、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットを擁する最新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でした。これは、監督が常に進化し、直近の作品に強い愛着を抱いている証拠とも言えます。

『キル・ビル』は究極のタランティーノ映画

一方で、監督はユマ・サーマンが復讐に燃える元暗殺者を演じた2部作「キル・ビル」についても言及し、「『キル・ビル』は究極のタランティーノ映画だと思う。自分以外には誰も作れなかったような作品だ」と語りました。この作品のストーリーの「あらゆる側面」が、タランティーノ氏の豊かな想像力と映画への深い愛、情熱から生まれたものであるとし、「だから『キル・ビル』は私が生まれながらにして作る映画だったと思う」と述べています。これは、監督の創作過程と自己認識の一端を垣間見せる発言です。

初期作品への思いと次回作

監督は、これまでの作品の中で変えたいと思う点があるかとの問いに対し、「唯一気に入らないのは、『レザボア・ドッグス』と『パルプ・フィクション』のほんの数ショットだけ」と答えました。これらの初期作品には「素人くさい」ショットがあったと付け加え、「自分が何を分かっていないのかさえ分かっていなかった」、監督になり立てのころに製作したものだと振り返っています。機材やアームの影、俳優の立ち位置を示す印がショットに映り込んでいた具体的なミスを明かし、「やり方を理解するには、少なくとも映画2本は必要だ」と冗談めかしました。

現在、タランティーノ監督は、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の続編にあたる「The Adventures of Cliff Booth」の撮影を開始したばかりだといいます。彼の今後の作品にも期待が高まります。

クエンティン・タランティーノ監督の自身の作品に対する深い洞察と評価は、彼の芸術家としての成長と、映画製作への飽くなき情熱を浮き彫りにしています。初期の「素人くさい」と謙遜する時期を経て、今や世界の映画界を牽引する存在となった彼の今後の動向から目が離せません。

参考文献