韓国女子バレーボールの韓日戦における「偏った判定」が物議を醸し、韓国文化体育観光部傘下のスポーツ倫理センターが調査を開始した。勝利したにもかかわらず、その公正性が問われる異例の事態に、バレーボール界内外から注目が集まっている。
女子バレーボール韓日戦の審判判定を巡る騒動とスポーツ倫理を象徴するイラスト
騒動の発端:勝利を巡る「偏った判定」への疑惑
スポーツ倫理センターは8月19日、問題の判定が偏っていなかったかどうかを調べるための本格的な調査に着手した。この騒動の発端となったのは、今月16日に慶尚南道晋州市の晋州室内体育館で行われた「2025コリア・インビテーショナル晋州国際女子バレーボール大会」の第4戦、女子バレーボール韓国対日本の一戦だ。
韓国代表チームは、光復節(8月15日、日本による植民地からの解放記念日)の翌日に行われた通算150回目の歴史的な韓日戦で、セットカウント3-2というフルセットの激戦を制し、勝利を収めた。この勝利は、2021年の東京オリンピック予選第4戦以来、約4年ぶりとなる日本戦での快挙であり、バレーボール・ネーションズリーグ(VNL)降格で自信を失っていた韓国女子バレーボール界にとって、大きな追い風となるはずだった。しかし、試合後、多くのバレーボール・ファンたちは「偏った判定による恥ずかしい勝利だ」と声を上げ、インターネット上では「この試合の審判に懲戒処分を与えてほしい」という強い訴えが広がり、スポーツ倫理センターにまでその声が届けられた。これにより、勝利にもかかわらず、その公正性が指摘され、手放しで喜べない異例の状況となっている。
問題の試合内容と決定的なシーン
特にファンから批判の的となっているのは、最終第5セットの終盤、スコアが11-10となった決定的な場面だ。この時、韓国側のサーブが明らかにラインの外に落ちたように見えたにもかかわらず、「イン」と判定された。この一つ一つの判定が、緊迫した試合の勝敗を事実上決定づけたとされている。
問題の試合では、ビデオ判定やチャレンジシステムといった審判の誤審を防ぐための現代的なシステムが導入されていなかった。そのため、曖昧なプレーや微妙な場面において、韓国人審判が一貫して韓国側に有利な判定を下しているように見えたという指摘が複数上がっている。「韓日戦勝利」という国威発揚的な意味合いよりも、「スポーツにおける公正さ」が最優先されるべき価値として認識されるようになった現代のスポーツ界の雰囲気に逆行する事態として、この判定問題は大きな波紋を呼んでいる。
スポーツ倫理センターの異例の介入
このような状況に対し、あるバレーボール・ファンが8月18日、大韓体育会に直接「偏った判定をした該当の試合の審判を懲戒処分し、再発防止対策を整えてほしい」と訴え出た。大韓体育会はこの訴えを受け、担当部処である文化体育観光部にこれを送付。文化体育観光部は、傘下機関であるスポーツ倫理センターにこの一件を担当させた。
スポーツ倫理センターは、スポーツの公正性確保とアスリートの人権保護を目的として2020年に設立された団体である。これまでは、選手に対する人権侵害や、各スポーツ機関による不正などが主な調査対象であり、特定の競技における審判の判定そのものを取り扱うのは、その設立以来初めての異例のケースとなる。スポーツ倫理センターは、今回の調査で問題が発見された場合、該当機関の関係者に対して懲戒処分を勧告することができる権限を持つ。この異例の介入は、韓国スポーツ界が「公正な判定」の確保という課題に真摯に向き合おうとしている姿勢の表れとも見られている。
結論
女子バレーボール韓日戦における「偏った判定」を巡るスポーツ倫理センターの調査は、韓国スポーツ界における公正性の確保に向けた重要な一歩となる。今回の騒動は、単なる試合結果を超え、スポーツの信頼性を守る上で透明で客観的な調査結果がいかに重要であるかを浮き彫りにしている。今回の異例の調査が、今後の国際試合における審判制度のあり方や、スポーツ倫理の重要性について再考するきっかけとなることが期待されている。
参照元:朝鮮日報日本語版