(CNN) ウクライナは21日、ロシアによる大規模な攻撃に直面し、これにより9人が命を落としました。国際社会が停戦実現に向けて動き、米ロ首脳会談や欧州首脳とトランプ米大統領との協議が行われたばかりであるにもかかわらず、進展が見られない中でロシアの攻撃は激しさを増しています。この最新の攻撃は、両国間の紛争における新たな緊張の高まりを示しており、国際的な和平努力の困難さを浮き彫りにしています。
激化するロシアの攻撃:ドローンとミサイル574機
今回のロシアによる攻撃は、過去1ヶ月以上で最大規模となりました。ウクライナのゼレンスキー大統領が発表したところによると、ロシア軍は574機のドローン(無人機)と40発のミサイルを発射。これらの攻撃は、国境から遠く離れたウクライナ西部のリビウ州にも及ぶなど、広範囲にわたるものでした。
ザカルパッチャ州の米国系精密機器メーカー、フレックス社の工場から立ち上る黒煙。ロシアによる大規模攻撃の標的となった民間施設
米国系企業フレックス社への攻撃とその影響
同じくウクライナ西部に位置するザカルパッチャ州では、米国人所有の企業フレックス(Flex)の工場がロシア軍の標的となりました。当局の発表によると、この攻撃により少なくとも19人が負傷し、広報担当者は従業員6人が入院していることを明らかにしました。テキサス州に本部を置く米国・シンガポール系のフレックス社は、電子機器の製造を請け負う企業であり、同社の広報は、いかなる軍備品の生産、供給、支援にも関与していないことを強調しました。民間施設への攻撃は、国際法における戦争犯罪の可能性を示唆しており、国際社会からの批判を招いています。
国際社会とゼレンスキー大統領の反応
この大規模攻撃に対し、フランス外務省は「ロシアが和平交渉に真剣に参加する意志がないことを示している」と非難の声明を発表しました。ゼレンスキー大統領もまた、攻撃のタイミングに言及し、「この戦争を止めようとする世界各国の努力がないかのようにロシアは今回の攻撃を実行した」と指摘。さらに、「報復が必要だ。ロシアが意味のある交渉に参加し、この戦争を止める意思があることを示すサインはいまだに見えない」と述べ、国際社会の対応を促しました。前日には、ゼレンスキー大統領はロシアのプーチン大統領との会談前に停戦を実現させるという自身の要求について、ウクライナの安全の保証が確立されるなら「ある程度の妥協」をする用意があると発言しており、今回の攻撃はその発言の直後に行われた形となりました。
今回のロシアによる大規模な攻撃は、停戦に向けた国際的な努力が続く中で発生し、ウクライナの民間インフラと人々の生活に甚大な影響を与えています。米国系企業の施設が標的となるなど、事態はさらに複雑化しており、国際社会の和平への道のりは依然として険しいことが示されています。ゼレンスキー大統領の「妥協」発言の直後の攻撃は、ロシアが現在のところ交渉のテーブルよりも軍事行動を優先していることを強く示唆しています。
参照元
- CNN.co.jp (2025年8月22日). 「ロシアのウクライナ攻撃激化、停戦努力の中で9人死亡」.