日本軍慰安婦問題の解決を求め、壮絶な焼身自殺を遂げた故チェ・ヒョニョル氏(当時81)の10周忌追悼祭が、光州(クァンジュ)の民族民主烈士墓域で執り行われることが発表されました。この追悼祭は、日韓間の歴史問題、特に慰安婦問題と強制動員問題を改めて社会に問いかけ、その解決に向けた動きを喚起する重要な機会となります。彼の行動と遺されたメッセージは、今日に至るまで多くの人々に影響を与え続けています。
故チェ・ヒョニョル氏の生涯と焼身自殺の背景
故チェ・ヒョニョル氏は、「勤労挺身隊ハルモニと共にする市民の会」(現・日帝強制動員市民の会の前身)で積極的に活動していました。彼は、日本による植民地支配からの光復70周年を目前に控えた2015年8月12日、ソウルの日本大使館前で毎週開催されていた「日本軍慰安婦問題解決のための水曜集会」に参加中、自らの身を焼いて抗議の意思を示しました。この痛ましい事件の後、チェ氏は病院に搬送されましたが、同年8月21日に息を引き取りました。彼の焼身自殺は、長年未解決のまま残されてきた歴史問題に対する深い怒りと、その解決を願う切実な思いの表れでした。
日本軍慰安婦問題解決を訴え、日本大使館前で焼身自殺した故チェ・ヒョニョル氏の追悼肖像
遺書に込められたメッセージ:日本への訴えと歴史認識
チェ氏が自決前にしたためた「7千万同胞に告ぐ」と題する文章は、彼の信念と問題意識を鮮明に示しています。彼は、自らが抗日運動家の父を持つことから、日帝時代の歴史問題に深い関心を持ち、積極的に活動してきたことを紹介しました。さらに、慰安婦や挺身隊の女性たちが長年にわたり日本大使館前で涙ながらに訴え続けても、現代の世代がこの問題を「対岸の火事」として傍観している現状に強い危機感を表明しました。彼は、日本政府が過去の過ちを消し去ろうとし、謝罪を拒否し、さらには独島(トクト)や東海(トンヘ)の呼称問題に至るまで、歴史認識の歪曲を続けていることを厳しく批判しました。そして、「世界人に指弾される時が来た」と訴え、国際社会による日本の歴史認識への責任追及を求めました。このメッセージは、単なる個人の訴えを超え、日韓関係における根本的な歴史認識の対立を浮き彫りにしています。
市民社会の継続的な追悼活動
故チェ・ヒョニョル氏の壮絶な自己犠牲は、韓国の市民社会に大きな衝撃を与え、その後の歴史問題解決運動に多大な影響を与えました。光州の市民社会団体は、彼の葬儀を「民主社会葬」として厳かに執り行い、それ以降、毎年欠かさず追悼祭を開催し続けています。社団法人日帝強制動員市民の会と光州全南追悼連帯は、来る23日午前10時に光州望月洞の民族民主烈士墓域(5・18旧墓域)で10周忌追悼祭を開催すると発表しました。これらの活動は、チェ氏の遺志を継ぎ、日本軍慰安婦問題や強制動員問題の真の解決、そして正しい歴史認識の確立に向けて、韓国社会が連帯して取り組む姿勢を示しています。彼の追悼祭は、単なる故人を偲ぶ場に留まらず、現在も進行中の歴史問題に対する社会的な関心と行動を促す重要な機会となっています。
故チェ・ヒョニョル氏の行動と遺した言葉は、過去の歴史が現在そして未来の国際関係に与える影響の大きさを私たちに再認識させます。彼の犠牲を無駄にしないためにも、歴史問題に対する真摯な向き合い方と解決に向けた努力が、日韓両国に求められています。
参考文献:
- 故チェ・ヒョニョル氏、焼身自殺から10年…光州で追悼祭 (ハンギョレ新聞)