ヨーロッパ最大級となる中国大使館の建設計画に対し、イギリス国内で強い反対の声が上がっており、ロンドン中心部では大規模なデモが実施されました。この計画は、歴史的な王立造幣局の跡地に広大な大使館を建設するもので、その規模と立地が住民や香港からの移住者の間で波紋を呼んでいます。
ヨーロッパ最大級の規模と立地
2018年に中国政府が購入した旧王立造幣局の跡地は、ロンドンの中心部に位置し、有名な観光地であるロンドン塔の目の前という戦略的な立地を誇ります。広さはおよそ2万平方メートル、サッカー場約3つ分に相当し、完成すればヨーロッパで最大級の中国大使館となります。この巨大な施設が首都の中心に建設されること自体が、多くの懸念を生んでいます。
「諜報活動拠点」への懸念と市民の反対運動
このロンドンにおける中国大使館の建設に対し、地元住民や香港からの移住者らは「中国政府の諜報活動の拠点となるのでは」との懸念を強く表明しています。また、計画を許可することは「イギリス政府が全体主義的な体制を認めたことにつながる」と主張。23日には、約1000人が参加する大規模な抗議デモが開催され、計画撤回を求めました。イギリスメディアの報道によると、中国側が提出した計画書の一部が黒塗りであったこともあり、イギリス政府はまだ建設許可を出しておらず、最終決定は10月下旬に持ち越される見込みです。
ロンドン塔と中国大使館建設予定地を背景に、建設反対を訴えるデモ参加者たち
イギリス政府は、地元住民や移住者からの懸念、そして透明性に欠ける計画書の問題に直面しており、中国大使館の建設計画の行方は依然として不透明です。この決定は、今後のイギリスと中国の関係にも大きな影響を与える可能性があります。
イギリス・ロンドンで中国大使館建設に抗議し、スローガンを掲げるデモ隊