韓国、猛暑下の劣悪住宅で苦境に立つ高齢者と孫たち 「緑の傘」が緊急支援へ

今年の立秋を迎えた8月7日、韓国・京畿道楊平(キョンギド・ヤンピョン)の山あいに佇む築60年を超える土壁家屋は、容赦ない真夏の蒸し暑さに包まれていた。室温は31度に達し、この厳しい環境下で生活するのは、84歳の祖母と、高校生、中学生の孫たちという三世代家族だ。彼らの劣悪な住環境と酷暑への耐え忍ぶ日々に対し、ついに支援の手が差し伸べられることになった。

築60年超の老朽家屋、深刻な居住環境

この家屋は朝鮮戦争時代に建てられたとされる木骨土壁造りで、長年の時を経て老朽化が著しい。外壁の一部は断熱性の低いコンテナパネルで応急的に交換されているものの、抜本的な改善には至っていない。室内に入ると、板の間は所々剥がれ落ち、壁紙は破れて浮き上がっている状態だ。午後3時には、玄関の床の表面温度が33度を記録し、室温も外気温とほぼ同じ32度にまで上昇するという過酷な状況だった。

韓国の京畿道楊平にある築60年以上の土壁家屋。酷暑の中、84歳の祖母と孫が生活する劣悪な環境の家屋の様子。韓国の京畿道楊平にある築60年以上の土壁家屋。酷暑の中、84歳の祖母と孫が生活する劣悪な環境の家屋の様子。

冷房設備なき「息苦しい」日常

家には冷房設備が一切なく、各部屋に一台ずつある扇風機が唯一の暑さ対策だ。台所兼寝室に至っては扇風機すら置かれていない。通風を確保するため、玄関は日中常に開け放たれているが、その結果、雨が吹き込む日もあるという。祖母は「息苦しいから。閉めると窮屈」と語り、防虫網もほとんど張ることができない。虫が家の中に入り込むことは避けられないが、少しでも呼吸を楽にするためにはこの選択肢しかないのだ。屋外にはたきぎ代わりに集められた廃材やゴミが山のように積まれ、衛生面でも問題が山積している。冬季は灯油ボイラーとかまどで暖を取るが、家屋の構造的な弱さから大規模な修繕は困難な状況だ。

孫たちの切実な願いと気象庁の記録

中学生の孫は「暑いときはシャワーを浴びたり冷たいものを食べたりするが、兄はきつそうです」と、兄の体調を気遣う言葉を漏らした。長年にわたる酷暑と厳寒により、家にはカビが生え、破損も目立つ。孫たちは、ゴミを片付け、壊れたトイレのタイルを直したいという切実な願いを抱いている。気象庁の発表によると、今年7月の全国平均気温は27.1度で、1994年に次いで過去2番目に高く、猛暑日(最高気温33度以上の日)も14.5日と歴代3番目に多かった。このような異常気象が、彼らの生活を一層困難にしている現実がある。

「緑の傘」が緊急支援、構造改善へ

こうした深刻な状況を受け、児童福祉団体「緑の傘」が緊急支援に乗り出すことを決定した。まずは家周辺に積み上げられた廃棄物を撤去し、衛生環境の改善を図る。さらに、追加の寄付を募り、断熱工事を含む家屋の構造改善を進める計画だ。この支援が、高齢の祖母と成長期の孫たちがより安全で快適な環境で暮らせるようになるための第一歩となることが期待される。


参考文献

  • KOREA WAVE/AFPBB News (2023年8月25日). 韓国の猛暑下の劣悪住宅で苦境に立つ84歳の祖母と孫.