沖縄初の大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」がグランドオープンから約1ヶ月。報道やSNSでは早くもその先行きを不安視する声が聞かれる一方、地元沖縄県民からは「北部振興の起爆剤」としての大きな期待が寄せられていた。しかし、開園間もない現状で多くの課題も浮き彫りとなっている。本稿(前編)では、沖縄の地域事情と観光の課題を踏まえ、ジャングリア沖縄開園前の県民感情と期待された経済効果に焦点を当てる。
沖縄本島「南北問題」:地域開発の背景にある構造的課題
沖縄本島の地域課題を理解する上で、まず「南北問題」の背景を説明する必要がある。沖縄県(人口約147万人、2025年7月時点)の人口約9割は、本島南半分の4割強を占める「本島中南部」に集中している。この狭いエリアに人口が密集するため、その人口密度は政令指定都市並みとなる。
さらに、沖縄本島の総面積の約15%が米軍基地であり、これが住民が日々実感する過密感を一層強めている。経済活動の中心は那覇を擁する本島中南部で活発であり、主要企業の大半もこの地域に立地しているのが現状だ。ジャングリア沖縄は、こうした南北格差の是正、すなわち「北部振興」の要として期待されてきた。
沖縄本島北部で期待を集めるテーマパーク「ジャングリア沖縄」の、熱帯植物が茂るエントランス風景。
ジャングリア沖縄への期待は、単なる娯楽施設を超え、沖縄本島の「北部振興」という長年の地域課題解決への道筋を象徴する。その初期の困難を乗り越え、いかに地域に貢献していくか、今後の動向が注目される。
参考資料
[1] Yahoo!ニュース. 「ジャングリア沖縄」オープン前の県民感情はどうだったのだろうか?. https://news.yahoo.co.jp/articles/ef1af2ee079740acfcfd4a1994060955bfd0ecdc
[2] 沖縄県統計 (Okinawa Prefectural Statistics)