木更津市「ナイジェリアホームタウン」報道で波紋拡大:SNSの懸念と市・県の見解

国際協力機構(JICA)が日本の4都市をアフリカ諸国の「ホームタウン」に認定したことを巡り、ナイジェリアのホームタウンとなった千葉県木更津市が、一部SNSで広がる「移民受け入れではないか」との懸念を打ち消すコメントを発表しました。この問題はグーグルマップ上で木更津市役所の表記が「ナイジェリア市役所駅前庁舎」に変更される事態にも発展しており、市民の間で波紋が広がっています。

JICA認定「ホームタウン」の背景と目的

「ホームタウン」認定は、横浜市で8月21日に開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD)関連会合で発表されました。この取り組みの目的は、アフリカ各国と日本の自治体間での人材交流を促進することにあります。文化、スポーツ、教育などを通じた相互理解と協力関係の構築が期待されています。

SNS上で拡散する「移民受け入れ」懸念とグーグルマップ表記問題

JICAによる認定発表後、SNS上では「これは実質的な移民の受け入れにつながるのではないか」という指摘や、来日するナイジェリア人に対する特別就労ビザの発給要件が緩和されるのではないか、といった懸念が急速に拡散しました。さらに、8月25日午後3時時点では、グーグルマップ上で木更津市役所の駅前庁舎が「ナイジェリア市役所駅前庁舎」と表記されるという予期せぬ事態も発生し、混乱に拍車をかけました。

グーグルマップ上で「ナイジェリア市役所駅前庁舎」と表記された千葉県木更津市役所のスクリーンショットグーグルマップ上で「ナイジェリア市役所駅前庁舎」と表記された千葉県木更津市役所のスクリーンショット

木更津市・渡辺市長による公式見解と真意

事態を重く見た木更津市は、渡辺芳邦市長名で公式コメントを発表しました。市は「一部のSNSで報じられている移住・移民の受け入れやナイジェリア国における特別就労ビザ等の発給要件の緩和措置などの事実は、本市から何ら要請した事実はなく、また、一切承知しておらず、SNSで報じられている事実もございません」と、明確に懸念を否定しました。コメントでは、木更津市が東京オリンピックでナイジェリアのホストタウンを務めた縁から今回のホームタウン認定に至った経緯を説明。野球やソフトボールを通じた「若者の人材教育に協力するものであり、移住や移民の受け入れにつながるような取り組みではありません」と、プログラムの真の目的を強調しました。

千葉県知事も安全性を強調

この問題に対し、千葉県の熊谷俊人知事も8月24日、自身のX(旧ツイッター)でコメントを発表。「少なくともこの取組によって木更津市や千葉県が危険になる、犯罪が増えることはありませんのでご安心ください」と述べ、市民の安全に対する懸念を払拭する姿勢を示しました。県としても、この「ホームタウン」プログラムが地域社会に不利益をもたらすものではないことを強調しています。

結論

木更津市がナイジェリアの「ホームタウン」に認定されたことをきっかけに、SNS上で「移民受け入れ」などの誤情報が拡散し、さらにはグーグルマップの誤表記まで発生するという混乱が生じました。これに対し、木更津市と千葉県は迅速に公式見解を発表し、プログラムの真の目的がスポーツを通じた人材交流であり、移民や治安悪化につながるものではないことを明確にしました。正確な情報に基づき、冷静な判断が求められます。

参考文献

  • 国際協力機構(JICA)公式ウェブサイト
  • 木更津市公式ウェブサイト 市長コメント
  • 千葉県知事 熊谷俊人氏 X(旧Twitter)投稿