神戸市のマンションで大手損害保険会社に勤務する片山恵さん(24)が刃物で刺され命を落とした事件は、社会に大きな衝撃を与えています。殺害現場から逃走していた谷本将志容疑者(35)の犯行前の足取りが明らかになるにつれ、世間にはその執拗な追跡と過去の経歴に対する驚きが広がっています。容疑者は一体、いつから片山さんをターゲットに定めていたのでしょうか。そして、見知らぬ女性に対する彼の歪んだ「執着心」は、どのように凶悪な犯行へとエスカレートしていったのか、全容解明が急がれています。
谷本将志容疑者(35)の姿。神戸マンション刺殺事件の容疑者であり、過去にストーカー殺人未遂で逮捕歴がある人物。
執拗な追跡:50分間の監視と巧妙な侵入手口
事件の捜査が進むにつれて、谷本容疑者の犯行前の足取りが詳細に明らかになってきました。マンションのエントランス付近に設置された防犯カメラには、片山さんがオートロックの扉を開けた直後、閉まる寸前に谷本容疑者らしき男が侵入する様子が記録されていました。さらに、事件当日、片山さんが勤務先から帰宅する際に利用した阪神電鉄の神戸三宮駅構内の防犯カメラにも、谷本容疑者の姿が確認されています。
当初、男は10分程度片山さんをつけ回していたとみられていましたが、その実態ははるかに長時間に及ぶものでした。勤務先を出た片山さんを追いかけ、同じ電車に乗り込み、現場となったマンションまで約50分間にもわたってつきまとい行為をしていたことが判明しています。しかし、捜査関係者によれば、谷本容疑者は取り調べに対し、片山さんについて「まったく知らない人です」と供述しているとされています。見知らぬ女性に対するこの執拗な追跡は、背筋が凍るような戦慄を覚えます。
過去の「ストーカー殺人未遂」:2022年の衝撃的事件
谷本容疑者が見知らぬ女性の後をつけ、危害を加えたのは今回が初めてではありません。今回の手口は、2022年5月に女性の首を絞めた疑いで谷本容疑者が逮捕された際の犯行態様に酷似していることが報じられています。当時の読売新聞は、この首締め事件について衝撃的な内容を伝えていました。
生田署の発表によると、谷本容疑者はその日、女性が帰宅してドアを開けるのを待ち、部屋に侵入。女性の首を絞めた後も約1時間にわたって部屋に留まり、一方的に好意を告げた上で、「警察に言わないで」と言い残して逃走したとされています。この事件の後、谷本容疑者は逮捕され、同年7月28日から公判が開かれました。最終的に、懲役2年6か月、執行猶予5年の判決が言い渡されています。
判決文が明かす執着心と危険性
公判の過程では、谷本容疑者が被害女性を路上で見かけて一方的に好意を抱き、その後、約5か月にわたり被害者をつけ回し、自宅マンション周辺をうろつくなどのストーカー行為に及んでいたことが明らかにされました。さらに、女性の姿を動画撮影していた事実も判明しています。
谷本容疑者は、このストーカー行為の期間中に、5回にわたって被害女性の後ろをついていくなどしてオートロックのマンションに侵入しています。そして、最終的にはマンション内で被害女性を待ち伏せ、帰宅した彼女の部屋に押し入り、首を絞めて傷害を負わせた上で、一方的な「好意」を伝えたのです。公判では、この犯行について「必死に逃げようとする被害者に対し強く首を絞めるなどしたという強度で危険なもの」であり、「被害者は死の恐怖に直面しており、被害後も続く不安・恐怖を含めた心身の苦痛は大きい」と断罪されました。
「改心」の誓いと3年後の凶悪化
2022年の事件の後、谷本容疑者は当時勤務していた神戸市内の建築会社の社長に「改心してがんばります」と伝え、地元である関西を離れたと報じられています。しかし、それから約3年後、「改心」とは程遠い、むしろ過去の“前科”を彷彿とさせる、さらに凶悪な手口で片山さんに接近し、最悪の結果を招きました。
現在のところ、犯行動機はまだ明確にされていませんが、今回の事件も、前回の事件と同様に女性に対する谷本容疑者の強い「執着心」が背景にある可能性が指摘されています。県警の調べによれば、今のところ、谷本容疑者と片山さんの間に直接的な接点は確認されていません。しかし、事件の3日前から、谷本容疑者がお盆休みの初日から神戸市内を訪れ、片山さんが勤務していた損害保険会社近くのホテルに宿泊していたことが明らかになっています。
片山さんをつけ回し始めたのは果たして事件当日だったのでしょうか。見知らぬ女性を狙い、執拗なストーカー行為の末に尊い命が奪われた今回の事件は、私たちの日常の安寧を脅かす深刻な問題です。社会に蔓延する不安を払拭するためにも、動機を含む事件の全容解明に世間の注目が集まっています。
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