高市首相、トランプ大統領との日米会談で「新時代」宣言も、外交姿勢に賛否両論

去る10月28日、東京・元赤坂の迎賓館において、高市早苗首相(64)とトランプ米大統領(79)との間で日米首脳会談が開催されました。この会談で両首脳は、日米同盟の重要性を改めて確認し、高市首相は自らが掲げる「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」の実現に向け、確かな弾みを得たかたちです。しかし、会談後の高市首相の振る舞いを巡っては、国内外から様々な評価と議論が巻き起こっています。

東京・元赤坂の迎賓館で行われた日米首脳会談後、親密な雰囲気を見せる高市早苗首相とトランプ米大統領東京・元赤坂の迎賓館で行われた日米首脳会談後、親密な雰囲気を見せる高市早苗首相とトランプ米大統領

日米同盟の「新たな黄金時代」へ:会談の主要成果と背景

首相就任後初めてトランプ大統領と面会した高市首相は、会談で「日米同盟の新たな黄金時代を築きたい」と述べ、これに対しトランプ大統領も「最も力強いレベルの同盟関係」であると強調しました。両首脳は、日米同盟の揺るぎない重要性について共通認識を再確認。さらに、トランプ大統領は、故安倍晋三元首相との蜜月関係に言及し、高市首相も安倍氏が愛用していたゴルフクラブをサプライズで贈呈するなど、「後継者」としての印象をアピールしました。会談後には、日米関税合意の着実な履行、そして重要鉱物であるレアアースの供給網構築に関する文書に署名し、経済安全保障分野での連携強化も確認されました。

また、この日は北朝鮮による拉致被害者家族とトランプ大統領との面会も実現しました。大統領の来日は27日でしたが、当初、拉致被害者家族との面会には慎重姿勢を示していたとされています。しかし、家族会代表の横田卓也氏は、面会実現が高市首相の「力添え」によるものとして謝意を述べており、高市首相の外交における存在感が示されました。

異例の厚遇と「配慮」:高市外交の滑り出し

高市首相は、会談が行われる前からトランプ大統領を強く意識した動きを見せていました。就任後初の所信表明演説では、防衛費増額を2年前倒しすると明言しましたが、これは以前から日本の軍事費負担に不満を表明してきたトランプ大統領への明確なアピールと受け止められています。こうした高市首相の「配慮」が実を結んだか、会談後、トランプ大統領は米軍横須賀基地に向かう大統領専用ヘリ「マリーンワン」に高市首相を同乗させるという、異例の厚遇を見せました。これまで「外交力に乏しい」との指摘もあった高市首相でしたが、今回のトランプ大統領との一連のやり取りからは、確かな親密さが垣間見えました。

「はしゃぎっぷり」が招いた議論:空母演説での振る舞い

日米首脳の間に漂う親密な雰囲気に、SNSでは今回の首脳会談を「大成功」と評価する声が多数上がりました。しかしその一方で、高市首相の振る舞いに対しては「親密さ」を超えたものがあるのではないか、との疑問の声も噴出しています。

議論の焦点となったのは、高市首相とトランプ大統領がヘリで移動した横須賀基地に停泊する空母「ジョージワシントン」で行われた演説中の一幕です。トランプ大統領が演説の途中で高市首相を傍に呼び寄せ、在日米兵からの大歓声が上がると、高市首相は笑顔で拳を突き上げました。さらに、トランプ大統領が「日米の株価が史上最高値を記録した」と発し、再び歓声が起こると、高市首相は満面の笑みで親指を立てる「サムズアップ」のポーズを披露。直後、トランプ大統領から肩に手を回されると、高市首相は大統領の顔を見つめました。そして、トランプ大統領が「尊敬している。日本で初の女性首相だ」と賛辞を送ると、会場の熱狂に包まれ、高市首相はその場でぴょんぴょんと飛び跳ね、四方の米兵たちに体を向けながら拳を掲げたのです。

終始「ハイテンション」で振る舞った高市首相のこの場面を巡り、X(旧Twitter)では様々な反応が寄せられました。

批判的な意見としては、

  • 「あのはしゃぎっぷりを見て愕然とした。ピョンピョン飛び跳ねる様は幼稚過ぎてびっくりした」
  • 「うきうきぴょんぴょんするのは推しのライブとかならいいと思う。公私とかTPO的にあれは一国の首相としてよくないなと感じる」
  • 「対等に振る舞うのも仕事だよ。あれじゃ『トランプの1人ファン』にしか見えないよ。日本の国益を守る立場なのに」

といった声が上がる一方、

  • 「さすがだなあ。トランプと打ち解けることができたってことはいい成果」
  • 「安倍マリオの時も思ったけど、こういう茶目っ気って日本の首相らしくって良いよね」
  • 「高市さんのこんなノリノリ、いいなぁ、実にいい」

といった擁護の声も寄せられ、世論の多様性が浮き彫りになりました。

メローニ首相との比較に見る「威厳」の必要性

高市首相の「コミュ力」を評価する声も聞かれる一方で、会談後に高市首相とトランプ大統領が腕を組んで身を寄せ合いながら階段を下りる場面も各メディアで取り上げられ、「対等には見えない」といった懐疑的な意見は根強く残っています。

SNS上では、こうした高市首相の一連の所作を巡って、同じく保守派として知られるイタリアのメローニ首相(48)と比較する声も少なくありません。メローニ首相も今年1月、トランプ大統領の私邸で会談を行うなど良好な関係を築いていますが、過去にトランプ大統領と接した際には、より「クール」な態度を保っていたと指摘されています。高市首相の親しみやすいキャラクターは広く知られていますが、外交の舞台においては、単に「親密さ」をアピールするだけでなく、時として一国の首相としての「威厳」ある態度を取ることも求められます。

高市首相とトランプ大統領の首脳会談は、日米同盟の強固さを再確認し、日本外交に新たな活力を与える機会となりました。しかし、その過程で示された高市首相の振る舞いに対する賛否両論は、首相という公的な立場における表現と、国際社会での日本の「顔」としてのあり方について、改めて問いを投げかけるものと言えるでしょう。今後の高市外交が、国際社会においていかにバランスの取れたリーダーシップを発揮していくのか、その手腕に注目が集まります。

参考文献