飲酒運転撲滅へ新たな誓い:福岡3児死亡事故19年、県民大会で遺族が訴え

2006年に福岡市で発生した3児死亡飲酒運転事故から19年となる8月25日、飲酒運転の根絶を目指す福岡県民大会が北九州市で開催されました。この悲劇で我が子を失った母親の大上かおりさん(48)が初めて参加し、飲酒運転の撲滅を力強く呼びかけました。社会全体の飲酒運転に対する意識改革と再発防止の誓いが、再び強く共有された日となりました。

福岡3児死亡事故の悲劇を忘れない

この痛ましい飲酒運転事故は、2006年8月25日夜、福岡市の「海の中道大橋」で発生しました。大上さん一家が乗車していた乗用車が、当時市職員であった男の飲酒運転車両に追突され、約15メートル下の海に転落。大上さんの長男・紘彬ちゃん(当時4歳)、次男・倫彬ちゃん(同3歳)、長女・紗彬ちゃん(同1歳)の尊い命が奪われました。この悲劇を風化させず、飲酒運転撲滅への意識を高めるため、県民大会は事故から10年後の2016年以降、毎年8月25日に開催されています。

北九州市で開催された飲酒運転撲滅県民大会で壇上に立つ大上かおりさん、大庭茂弥さん、山本美也子さん北九州市で開催された飲酒運転撲滅県民大会で壇上に立つ大上かおりさん、大庭茂弥さん、山本美也子さん

今年で10回目を迎えた大会には約300人が参加。登壇した大上さんは、「8月25日を撲滅大会の日としてくれた思いを大切にしながら、大会がいつか解散できる日を願い、微力ながら一緒に活動していきたい」と、飲酒運転根絶への強い決意と未来への希望を語りました。彼女の言葉は、参加者の心に深く響き、飲酒運転の無い社会実現への思いを一層強くしました。

飲酒運転の現実:北九州市職員の逮捕事例

飲酒運転撲滅への願いが込められた県民大会が開かれた同日、北九州市において残念ながら新たな飲酒運転の事例が報じられました。福岡県警折尾署は25日、北九州市職員の男(52)(福岡県遠賀町在住)を道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕しました。

福岡市東区の海の中道大橋で飲酒運転検問を実施する福岡県警の警察官福岡市東区の海の中道大橋で飲酒運転検問を実施する福岡県警の警察官

発表によると、この男は同日午後3時頃、自宅近くの県道で酒気を帯びた状態で軽トラックを運転していたとされています。取り調べに対し、「飲酒運転は事実だが、しようと思って運転したわけではない」と供述しています。同署幹部によると、「頻繁にコンビニで日本酒を買い、飲酒運転が疑われる男がいる」との市民からの通報を受け警戒していた署員が、ナンバーが一致する車両を発見し、職務質問を実施。呼気からは1リットルあたり0.22ミリ・グラムのアルコール分が検出されました。北九州市報道課は、この件について「事実関係を確認中」とコメントしています。この逮捕は、飲酒運転の問題が依然として社会に根深く存在し、継続的な啓発と取り締まりの重要性を示しています。

飲酒運転による悲劇を繰り返さないためには、個々人の強い自覚と、社会全体の弛まぬ努力が不可欠です。福岡3児死亡事故から19年という節目に、改めてその誓いを胸に刻み、安全な交通社会の実現に向けて、私たち一人ひとりが責任ある行動を続けていくことが求められます。

参考資料