就職面接で評価を落とすNG志望動機:「安定」から「オンリーワン」へ変える戦略

就職活動の最終段階である「面接」は、合否を大きく左右する重要な局面です。この肝心な場面で、評価を下げてしまう発言や態度は避けたいものです。新刊『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』の著者である藤井氏は、特別な経験を持たない「脇役さん」でも、大手企業を含む22社から内定を獲得した実体験から、効果的な就活戦略を提示しています。今回は、面接官の評価を下げてしまう「もったいない」一言と、それを回避するための戦略を詳しく解説します。

就職面接で真剣な表情で話す学生と、その話を聞く採用担当者の様子。志望動機を伝える重要な場面。就職面接で真剣な表情で話す学生と、その話を聞く採用担当者の様子。志望動機を伝える重要な場面。

「安定」を理由にすると面接官はどう評価するか?

ホワイト企業ナビという求人サイトを運営する中で、藤井氏が人事担当者からよく耳にするのは、「安定しているから志望しました」という志望動機が多いということです。

この言葉に対し、人事担当者は「安定している会社ならどこでも良いのですか?」と疑問を抱きます。たしかに、業績が安定している大手企業は多数存在し、その志望動機では、特定の企業でなければならない理由が伝わりません。面接官が本当に求めているのは、数ある企業の中からなぜ自社を選んだのか、その企業でなければならない「独自の理由」を説明できる人物なのです。本音では安定を求めていたとしても、それを補完する具体的な理由や、企業への熱意を伝えることが不可欠です。

なぜ「志望動機」が就職活動で極めて重要なのか

藤井氏は就職活動生に対し、「志望動機には徹底的にこだわろう」と強くアドバイスしています。その理由は、自己紹介や長所・短所といった汎用的な回答と異なり、志望動機は一社ごとに作り込む必要があるため、他の多くの就活生が手を抜きがちな部分だからです。

また、企業が最も評価するのは「内定辞退しない人」です。例えば、5人に内定を出しても全員に辞退されてしまえば、採用活動を最初からやり直す必要が生じます。採用活動には多大なコストと労力がかかるため、企業側は「入社への意欲が高く、内定を出せば入社してくれるだろう」と確信できる学生を求めています。この人事側の背景を理解することで、いかに納得性の高い志望動機を用意し、志望度の高さを伝えることが重要であるかが明確になります。

納得性の高い志望動機を作る鍵:「オンリーワン」の探し方

『脇役さんの就活攻略書』でも詳しく解説されていますが、納得性の高い志望動機を作るためには「オンリーワン」に着目することが重要です。この概念をわかりやすくするために、恋愛に例えてみましょう。もし異性から「なぜ私のことが好きなの?」と聞かれた時に「ロングヘアーだから」と答えてしまうと、「他のロングヘアーの人でもいいじゃないか」と思われてしまうでしょう。しかし、「こんなにも一緒にいて楽しい人は人生で初めてなんだ」と答えることができれば、相手は納得するかもしれません。なぜなら、それが「唯一無二」の理由だからです。

これを企業の志望動機に応用すると、とにかくその企業の「オンリーワン」を探すことに尽きます。具体的には、その企業の社訓、社長の言葉や人柄、特徴的な事業内容、競合他社にない優位性、将来のビジョン、あるいは自身の具体的な体験など、多角的に掘り下げてみてください。一つでも「オンリーワン」を見つけることができれば、それを深掘りし、自身の経験や価値観と結びつけることで、面接官を納得させる説得力のある志望動機を作り上げることができます。

面接官に「安定しているから志望しました」と伝えて後悔しないよう、ぜひ貴社ならではの「オンリーワン」を見つけ出し、評価される志望動機を作成してみてください。

参考文献

  • 藤井智也著『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』