「QUOカード付きだからお得」と、出張先でそんなホテルプランを選ぶ同僚はあなたの周りにもいませんか? ビジネスホテルでは定番化し、得した気分になる人気のプランです。しかし、会社の経費で宿泊する出張の場合、社員がQUOカードを個人的に受け取り使用することには、重大な注意が必要です。安易に利用すると、思わぬトラブルや処分につながるリスクも潜んでいます。本記事では、QUOカード付きプランの仕組み、そのメリット、そして出張で利用する際の具体的な注意点とリスクについて、専門的な視点から詳しく解説します。
出張先でクオカード付きプランのホテルを利用するビジネスパーソン。経費精算における潜在的なリスクを考慮している様子。
予約サイトで普及するQUOカード付きプランの実態
ビジネスホテルの予約サイトを開くと、「QUOカード1000円分付き」「QUOカード3000円分プラン」といった表示がよく見られます。これらは宿泊料金にQUOカードの金額が含まれており、チェックイン時にカードが手渡される宿泊プランのことです。QUOカードはコンビニエンスストア、書店、ドラッグストアなど多くの場所で利用できるため、現金の感覚で使えるお得な特典として、多くのビジネスパーソンから人気を集めています。
実際に、大手予約サイトではQUOカード付きプランをまとめた特集ページが組まれており、出張向けの推奨プランであるかのような印象を受けるかもしれません。しかし、ここで注意すべきは、これらのプランの宿泊費にはQUOカード分の金額が「上乗せ」されているという点です。例えば、通常の宿泊費が8000円のところ、3000円分のQUOカードが付くことで合計1万1000円になるような料金設定が一般的です。企業によっては、この差額の取り扱いが問題視されることがあります。
出張におけるQUOカード利用:経費精算時の重大なリスク
会社の出張でQUOカード付きプランを利用する際には、経費精算の方式と自社の旅費規定を事前に厳しく確認することが不可欠です。
もし会社が実費精算を採用している場合、QUOカード分の費用も含めて会社が宿泊費全額を負担することになります。この状況で社員がQUOカードを個人的に利用することは、会社の財産を私的に流用したと見なされ、「業務上横領」や「着服」と判断される深刻なリスクがあります。実際に、このようなケースで懲戒処分に至った事例も報告されており、企業倫理や法令遵守の観点から非常に厳しい目が向けられます。
一方、「宿泊費は1泊1万円まで」といった概算で支給されるケースでは、ある程度の社員の裁量が認められる場合もあります。しかし、たとえ概算支給であっても、会社の旅費規定に「金券付きプランの禁止」が明文化されているケースは少なくありません。このような規定があるにもかかわらず黙って利用すれば、後々のトラブルや信頼関係の毀損につながる可能性があります。
出張先のホテルを選ぶ際は、「周りの同僚がやっているから大丈夫だろう」と安易に判断せず、必ず自社の出張旅費規定を熟読し、不明な点があれば必ず上司や経理担当者に確認を取りましょう。自己判断は避け、会社のルールを最優先に遵守することが、自身の立場を守る上で最も重要です。