18歳でモデルデビューし、女性ファッション誌などで注目を集めた佐藤かよさん。21歳のときには、テレビ番組で自身がトランスジェンダーであることを公表し、大きな話題を呼びました。華やかな舞台の裏で揺れていた葛藤や不安、そして公表後に芽生えた思いとは── 。(全3回中の2回)
■事務所にかかってきた1本の電話
── 佐藤さんが、芸能界に入ったきっかけは何だったのでしょうか?
佐藤さん:芸能界に入ったきっかけは、スカウトです。当時は女性としてショップ店員をしていました。ショップ店員として、雑誌のスナップ写真に載ったことがきっかけで、芸能事務所に声をかけられたんです。そこからモデルとして、地元である名古屋を拠点に活動をするようになりました。
── 当時は女性として活動をされていたんですか?
佐藤さん:はい。当時は、自分が男性であることを誰にも伝えていませんでした。友達にも、仕事先にも言っておらず、女性としてモデルの活動をしていたんです。「隠していた」と言えばそうなのかもしれませんが、言うタイミングがなかったというのが正直なところです。それに「言っても意味がないかな」とか「わざわざ言う必要もないな」という気持ちもありました。
── トランスジェンダーであることを周囲に伝えたのは、いつですか?
佐藤さん:東京での仕事が増えて、モデルとしてメディアにもたくさん出るようになったころです。ある日、事務所に「あの人、男ですよ」という密告の電話がかかってきたんです。それで、社長に性別のことがバレました。
■「またか…」というあきらめを抱くも
── 学生のときも、佐藤さんの勤務先に「あの人、男ですよ」って密告の電話があったとおっしゃってましたよね。そんな電話をしてくる人がいるんですね…。
佐藤さん:いますね。このときもまたか…。という感じでした。がんばったり、自分のやりたいことが形になりそうになると、決まって足を引っ張ったり、意地悪をしてくる人が出てくるんです。幼少期からそんな経験ばかりでした。