デルパラ買収事件、店長らが「違法認識も指示に従う」供述 – 参院選巡る組織的関与浮上

今年7月の参議院選挙を巡り、自民党候補への投票と引き換えに従業員へ現金を渡すと約束したとして、パチンコ店運営会社「デルパラ」(東京都港区)の社長ら幹部6人が逮捕された事件で、同社の複数の店長が警視庁などの調べに対し、「違法だと思ったが、本社の指示なので従わざるを得なかった」と供述していることが捜査関係者への取材で明らかになりました。警察は店長らについても、公職選挙法違反(買収の約束)容疑で立件する方針です。

逮捕された幹部と容疑の概要

今回の事件で逮捕されたのは、デルパラ社長で韓国籍の李昌範容疑者(50)、営業本部長の男(46)、管理本部長の男(44)ら計6人です。発表によると、6人は店長らと共謀し、7月初旬から中旬にかけて、従業員約60人に対し、自民党公認候補だった阿部恭久氏(66)に投票する見返りとして、残業代の名目で現金3000円から4000円を支払う約束をした疑いが持たれています。阿部氏は全国パチンコ店の組織理事長を務め、業界初の組織内候補として参院選に立候補しましたが、落選しました。

組織的な買収手口と捜査状況

捜査関係者によると、営業本部長と管理本部長は7月2日から3日にかけ、社内ウェブ会議を通じて全国の店長らに、従業員が阿部氏の名前を書いた投票用紙を撮影し、その画像を本社に送れば報酬を支払うと説明していました。その後、会議内容をまとめたメモをLINEで店長らに送信し、指示の徹底を図っていたとされています。さらに、選挙期間中や投開票日後には、計数回にわたり、従業員の氏名や投票の有無を店長らに取りまとめさせ、投票用紙の画像データと合わせて本社へ報告させていたといいます。警視庁は、李容疑者が幹部らに指示を出し、組織的に買収を企てていたとみて捜査を進めています。

埼玉県内のパチンコ店「デルパラ」の店舗。幹部らが参院選買収容疑で逮捕された。埼玉県内のパチンコ店「デルパラ」の店舗。幹部らが参院選買収容疑で逮捕された。

候補者の関与と見解

候補者であった阿部恭久氏は27日の取材に対し、「(李容疑者とは)電話で一度だけ話したが、会ったことはない。買収には全く関与していない」と述べ、自身の関与を否定しています。

今回の事件は、組織的な買収行為が企業の幹部から末端の店舗従業員にまで及んでいた可能性を示しており、公職選挙法の遵守に対する社会的な意識が改めて問われる事態となっています。警視庁は、この組織的な買収計画の全容解明に向け、引き続き捜査を進める方針です。

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