ロシア軍キーウ大規模攻撃、18人死亡:国際社会が非難、制裁強化へ

ウクライナの首都キーウで、ロシア軍によるミサイルとドローンを用いた大規模な攻撃が発生し、子どもを含む18人が死亡する深刻な事態となりました。この攻撃は国際社会から強い非難を浴びており、各国はロシアへの制裁強化とウクライナへの支援継続を改めて表明しています。今回の攻撃は、ウクライナ紛争の長期化と国際的な緊張の高まりを浮き彫りにしています。

ロシア軍のキーウ大規模攻撃と甚大な被害

ウクライナ当局の発表によると、ロシア軍は10月27日夜から28日にかけて、ウクライナ全土に対しミサイル31発とドローン598機を使った前例のない規模の攻撃を実施しました。特に首都キーウでは、集合住宅が破壊されるなど広範囲にわたる被害が報告されています。この攻撃により、これまでに4人の子どもを含む18人が死亡し、30人以上が負傷しました。

ロシア軍によるミサイル攻撃で破壊されたキーウの集合住宅。瓦礫の中で救助活動が行われている様子。ロシア軍によるミサイル攻撃で破壊されたキーウの集合住宅。瓦礫の中で救助活動が行われている様子。

さらに、EU(ヨーロッパ連合)代表部やイギリスの文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシルが入る建物も攻撃を受け、一部が損傷しました。これらの民間施設や国際機関への攻撃は、国際法違反の可能性も指摘されており、人道に対する深刻な懸念が広がっています。

国際社会からの強い非難とゼレンスキー大統領の訴え

イギリスのラミー外相は、今回の攻撃に対しSNSで「殺戮と破壊は止めなければならない」と強く非難の声明を発表。これに伴い、イギリスに駐在するロシア大使を呼び出し、厳重な抗議を行いました。

ウクライナのゼレンスキー大統領もまた、自身のSNSに「ロシアは交渉のテーブルではなく、弾道ミサイルを選んだ。戦争を終わらせる代わりに殺戮を続けることを選んだ」と投稿し、ロシアの行動を痛烈に批判しました。大統領は国際社会に対し、ロシアへの制裁強化を強く訴えています。しかし、ゼレンスキー大統領が求めているプーチン大統領との首脳会談については、現時点で開催の見通しが立っておらず、両国の対話は膠着状態にあります。

EU委員長の怒り、代表部への攻撃と今後の支援

EUのフォンデアライエン委員長は、キーウへの攻撃、特にEU代表部への攻撃に対して「憤慨している」と述べ、深い懸念を表明しました。委員長は、今回の攻撃が7月以来、キーウに対する最も深刻なドローンとミサイル攻撃であったことを指摘。ロシアによるミサイル2発がEU代表部のビルからわずか50メートルの地点に着弾したことを明らかにしました。幸いにもビルの一部が損傷したものの、職員にけがはなかったとのことです。

フォンデアライエン委員長は、今回の攻撃を受け、改めてロシアへの制裁を強化し、ウクライナへの支援を継続していくことを強調しました。EUは、国際的なルールに基づいた秩序を維持するため、ウクライナへの連帯を示し続ける姿勢です。

結論

今回のロシア軍によるキーウへの大規模攻撃は、多数の死傷者と甚大な物的被害をもたらし、国際社会に再び大きな衝撃を与えました。イギリスやEUを含む国際社会は、ロシアの軍事行動を強く非難し、さらなる制裁強化とウクライナへの支援継続を明確にしています。一方で、ウクライナとロシアの首脳会談の見通しが立たない現状は、紛争終結への道筋が依然として見えないことを示唆しています。国際的な連携と圧力の継続が、今後の情勢を左右する重要な要素となるでしょう。

参考資料