ここ数日、愛知県豊明市が提案した「スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例」案、通称「スマホ1日2時間」条例が、日本社会に大きな波紋を広げています。若年層からは「現実的ではない」「守れない」といった反発の声が上がる一方、子育て世代の親からは健康面への配慮を評価しつつも、「子どもだけでなく大人も対象なのか」という戸惑いが見られます。また、中高年層からは「そこまで使うものなのか」「自治体が介入することなのか」といった疑問が呈されるなど、幅広い世代で議論が巻き起こっています。
「スマホ1日2時間」条例案が議論を呼ぶ愛知県豊明市の風景とスマートフォン利用者
豊明市「スマホ1日2時間」条例案の波紋と詳細
この条例案は8月25日に豊明市議会に提出され、9月22日に採決が行われる予定です。可決されれば、10月からの施行が見込まれています。条例案の主な内容は以下の通りです。
- 使用時間の目安: 仕事、家事、学習、移動時間などを除く「余暇時間」において、スマートフォンなどの使用を1日2時間以内とする目安を提示。
- 対象: 豊明市に在住する約6万8000人の全市民、および市内の学校に通う18歳未満の子ども。
- 夜間制限: 小学生以下は21時まで、中学生以上の未成年は22時までの使用を推奨。
- 対象機器: スマートフォンだけでなく、パソコン、タブレット、ゲーム機器なども含まれる。
- 罰則: あくまで目安であり、違反した場合の罰則規定は設けられていない。
この「提案」「スローガン」にすぎないとはいえ、市民の日常に深く関わる提案として、その影響と受容度について多様な意見が交わされています。
世界各国に見られるスマホ・SNS利用制限の動き
豊明市の動きに先行し、世界各国でもスマートフォンやSNSの利用を制限する動きが活発化しています。
- 韓国: 8月27日には、小・中・高校生の授業中のスマートフォンなどの使用を制限する改正法案が可決されました。2026年3月から施行され、具体的な制限基準や罰則は各学校が定めることになります。
- オーストラリア: 2024年11月には、世界で初めて16歳未満のSNS使用を禁止する法案が可決され、2025年12月から施行される予定です。
- アメリカ: 複数の州で学校内でのスマートフォン禁止やSNS利用制限を行う動きが見られます。
- フランス: 15歳未満のSNS利用を制限する方針を打ち出しています。
これらの事例は、過度なデジタルデバイス使用が子どもの発達や健康に与える影響への懸念が世界的な課題となっていることを示唆しています。
日本でのスマホ利用制限の是非:多角的な視点
では、日本もこれらの国々に倣って、スマートフォンやSNSの使用を制限していくべきなのでしょうか。そして、その対象は子どもだけでなく、大人にも広げるべきなのでしょうか。
豊明市の条例案が報じられてからの3日間で、小・中・高校生とその保護者、未婚の社会人、中高年層の計72名から直接意見を聞いた結果、制限の有無がもたらす恩恵と弊害の両面が浮かび上がってきています。例えば、子どもの学力向上や睡眠時間の確保、大人においては「デジタルデトックス」によるストレス軽減といった恩恵が期待される一方で、情報へのアクセス制限や現代社会におけるコミュニケーション手段の制約といった弊害も指摘されています。
テクノロジーが進化し、情報化社会がますます進む中で、デジタルデバイスとの賢い付き合い方を探ることは、個人の健康のみならず、社会全体の健全な発展にとっても喫緊の課題と言えるでしょう。豊明市の条例案は、その議論を深める一つのきっかけとなるはずです。