歌手BoAさんも発症:若年層にも広がる「骨壊死」の実態と注意点

2024年7月15日、韓国の人気歌手BoAさん(38歳)が、骨壊死の診断を受け、韓国公演の中止と東京でのライブ見送りを発表しました。公式サイトの発表によると、痛みが悪化したため病院を受診した結果、手術を伴う治療が必要な骨壊死と診断されたとのことです。骨の病気は高齢者に多いというイメージを持つ方が少なくない中で、30代のBoAさんが発症したことは、多くの人々に驚きを与えました。しかし、実際には若い世代、特に女性にとっても骨の問題は決して無関係ではありません。本記事では、骨壊死という病気のメカニズムとその多様な原因について解説します。

骨は「生きている臓器」:血流が鍵を握る骨壊死のメカニズム

皆さんが骨と聞いて思い浮かべるのは、多くの場合、白くて硬いカルシウムの塊のようなものでしょう。しかし、私たちの骨は常に破壊(骨吸収)と再生(骨形成)を繰り返し、その構造と機能を維持している「生きた臓器」です。このダイナミックな生命活動を支えているのが、骨の内部を走り、骨細胞に酸素や栄養を届ける無数の「血管」と、それに伴う「血流」です。

ところが、この vital な血流が何らかの理由で途絶えてしまうと、骨は栄養を失い、徐々に死んでしまいます。この状態が「骨壊死(こつえし)」です。医学的には「無血管性壊死」や「虚血性骨壊死」とも呼ばれ、血流の途絶によって骨組織が壊死に至る病態を指します。骨が壊死すると、その強度が著しく低下し、痛みや関節機能の障害を引き起こす可能性があります。

38歳で骨壊死と診断され、公演中止を発表した歌手BoAさんの写真38歳で骨壊死と診断され、公演中止を発表した歌手BoAさんの写真

骨壊死の主要な3タイプ:原因と若年層リスク

骨壊死は、その原因によって大きく3つのタイプに分けられます。それぞれ異なる背景を持つため、適切な診断と治療には原因の特定が重要です。

外傷性骨壊死

外傷性骨壊死は、骨折や脱臼といった事故や怪我によって、骨への血流を供給する血管が物理的に損傷を受け、血流が遮断されることで発生します。直接的な外部からの力が原因となるため、比較的わかりやすいケースです。

非外傷性骨壊死

非外傷性骨壊死は、外部からの明らかな怪我がないにもかかわらず発症するタイプです。主な原因としては、副腎皮質ステロイド薬やHIV治療薬の長期使用、アルコールの過剰摂取などが挙げられます。また、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患や、腎移植を受けた患者にもリスクが高いことが知られています。これらの要因が血流に影響を与え、骨の壊死を引き起こすと考えられています。

特発性骨壊死

特発性骨壊死は、外傷や既知の薬物使用歴、特定の疾患が明確でないにもかかわらず生じるものです。原因が特定できない場合に用いられる診断名ですが、最近では特定の活動との関連が注目されています。特に、スポーツでジャンプを繰り返したり、長時間ランニングを行ったりするなど、膝関節を酷使する状況で生じることがあります。近年、若い世代における膝の骨壊死と半月板損傷(特に内側半月板損傷)との関連が強く指摘されており、激しい運動を行う若年層にとって重要な注意点となっています。

骨壊死は、高齢者だけでなく、若年層にも起こりうる病気であり、その原因は多岐にわたります。BoAさんのケースが示すように、年齢に関わらず、体の不調、特に持続する関節の痛みには注意を払い、早期に専門医の診断を受けることが、健康な骨を維持するために不可欠です。


参考文献: