ロシア、EUを「敵」と明確に位置付け:米との関係再構築か、新たな国際構図の提示

最近、ロシアと欧州連合(EU)の対立が一段と先鋭化しています。ロシア国内の報道では、「ロシアはアメリカと共に平和のために努力している」との見方が広がり、その「友情」を妨害する存在として欧州が位置付けられる傾向にあります。一方、欧州側は約30の国と組織が参加する「有志連合」を結成し、ウクライナはこの連合の活動を停戦条件とする可能性も示唆しています。これに対し、ロシアは断固反対し、領土割譲を条件とした中国などを含む国際的枠組みでの停戦を望んでいます。両陣営は現在、ドナルド・トランプ元大統領の動向を巡っても綱引きを繰り広げており、欧州はロシアからますます「敵」と見なされ、EUは紛争の主要な「黒幕」として非難を受けています。

プーチン大統領とフォンデアライエン欧州委員長、ロシアとEUの対立関係を象徴プーチン大統領とフォンデアライエン欧州委員長、ロシアとEUの対立関係を象徴

ロシア対外情報庁SVRによるEU批判の先鋭化

ロシアがEUと欧州を明確に「敵認定」する動きは、最近特に顕著になっています。ロシアの対外諜報庁SVR(旧KGB)は、今年の4月以降、公式サイトを通じてEUを激しく非難し続けています。SVRは「アメリカはもはや敵ではない。残ったのはヨーロッパだ。キーウの忠実な同盟相手であり、モスクワの最大の敵となったヨーロッパである」といったメッセージを繰り返し発信しています。

仏紙『ル・モンド』の報道によると、SVRは欧州がウクライナでの戦争を無限に延長しようとしていると主張し、「トランプ大統領の平和への努力を妨害している」と非難しています。これは、欧州で起こった二つの主要な出来事に対するロシア側の反応と見られます。

EUの防衛力強化と「有志連合」へのロシアの猛反発

ロシアの強い反応を引き起こした欧州の二つの動きとは、一つはEUが防衛力の強化を目指して今年3月に発表した「ReArm Europe(欧州再軍備計画)」です。もう一つは、同じく3月にフランスとイギリスが主導して「有志連合」を結成し始めたことです。特に、この連合が軍隊の派遣を計画していることに対し、ロシアは当初から猛反発を示してきました。これらの動きは、ロシアが欧州を安全保障上の主要な脅威と見なすようになった背景にあります。

プーチン大統領が描く「国家の物語」の再構築

ロシアは今、その「国家の物語」を再構築せざるを得ない状況にあります。ソ連が冷戦に敗北し崩壊した1991年から9年後、ウラジーミル・プーチン大統領は四半世紀にわたり権力の座にあり、長らく欧州とアメリカの分断を試みてきました。彼はアメリカを排除し、EUと対等な立場で共に欧州を築くことを望んでいたとされます。

当初、EUを単なる経済組織として捉えていたロシアは、欧州が軍事的にいつまでもアメリカに従属している状況を見て、次第に見下すようになりました。そして現在、EUはロシアにとって明確な「敵」として位置付けられています。これは、プーチン政権下でロシアの対外戦略が大きく転換し、新たな国際秩序における役割を再定義しようとする試みの一環と言えるでしょう。

結論

欧州とロシアの間の対立は、SVRによるEUへの直接的な非難、EUの防衛力強化へのロシアの反発、そしてロシアが描く「国家の物語」の再構築といった形で、ますます先鋭化しています。かつて協力の可能性を探った関係から、今やEUを明確な「敵」と位置付けるロシアの動向は、国際政治の新たな局面を示唆しています。今後の欧州とロシアの関係、そしてアメリカを含む国際社会の対応は、世界の安定に大きな影響を与えることとなるでしょう。


参考文献

  • 仏紙『ル・モンド』
  • Yahoo News Japan (元の記事が掲載されたサイト)