来年度予算案、過去最大の122兆円台に膨張:長期金利上昇で国債費急増

日本政府の来年度(2025年度)予算案に向けた概算要求が8月末に締め切られる中、一般会計の総額が過去最大の122兆円台に達する見通しであることが明らかになりました。この大幅な増加の背景には、長期金利の上昇による国債の利払い費の急膨張があります。

来年度の予算編成に向けて、各省庁はそれぞれの政策に必要な経費を盛り込んだ「概算要求」を財務省に提出します。この概算要求の集計によると、来年度の一般会計総額は122兆円台となり、3年連続で過去最高を更新する見込みです。特に注目されるのは、国の借金の借り換えや利払いに充てられる国債費が、全体の約4分の1を占める32兆3865億円に上る点です。これは今年度の当初予算と比べて4兆円以上の増加となります。

日本の来年度予算案の概算要求と国債費の内訳を示すグラフ。長期金利上昇による財政圧迫の現状。日本の来年度予算案の概算要求と国債費の内訳を示すグラフ。長期金利上昇による財政圧迫の現状。

国債費の中でも、長期金利の上昇が直接的な影響を与えているのが利払い費です。今年度予算と比較して24%も増加し、13兆円を超える規模となりました。これは、日本銀行の金融政策変更に伴う金利動向が、国の財政に大きな重荷となっていることを示しています。

省庁別の要求額では、厚生労働省が34兆7929億円と最も多く計上しています。これは、高齢化の進展に伴い、医療、年金、介護といった社会保障費が継続的に増加し、こちらも過去最高を更新しているためです。社会保障制度の持続可能性は、日本の財政における長年の課題であり、来年度予算案でもその傾向が鮮明です。

さらに、米国による「トランプ関税」への対応や、記録的な物価高に対する国民生活支援策など、具体的な金額が示されない「事項要求」も認められています。これらの要求が予算案に反映されれば、全体の予算規模はさらに膨らむ可能性があり、財政運営の厳しさを増すことになります。金利上昇による国債の利払い費が急増する中で、予算編成の過程では、各省庁が要求する経費が本当に必要不可欠なものか、これまで以上に厳格な査定が求められています。政府は、国民の税金を効率的かつ効果的に活用するための、透明性の高い予算執行が急務とされています。

参考文献