2025年9月1日午後1時半ごろ、東京都世田谷区野沢2丁目の路上で、韓国籍の自営業バン・ジ・ウォンさん(40)=東京都港区=が刃物のようなもので首を切られ倒れているのが発見されました。バンさんは病院に搬送されましたが、約1時間半後に死亡が確認されました。現場からは韓国籍のパク・ヨンジュン容疑者(30)が逃走し、警視庁は翌2日未明、羽田空港で同容疑者を殺人容疑で逮捕しました。捜査関係者によると、二人は交際関係にあり、バンさんは事件前にパク容疑者とのトラブルを警視庁に相談していたとみられています。
世田谷区で韓国籍女性が刺殺される、容疑者を羽田で逮捕
事件は9月1日午後1時半ごろ、世田谷区野沢の閑静な住宅街で発生しました。「女性が血まみれで倒れている」との110番通報を受け、警察官が駆けつけたところ、バン・ジ・ウォンさんが首から出血している状態で発見されました。バンさんは救急搬送されましたが、懸命な治療にもかかわらず約1時間半後に死亡が確認されました。現場付近からは、韓国籍で職業・住居不詳のパク・ヨンジュン容疑者が逃走していました。警視庁は捜査の末、2日未明、羽田空港でパク容疑者を発見し、バンさんを殺害した疑いが強まったとして殺人容疑で逮捕に踏み切りました。
世田谷区野沢の住宅街で発生した女性刺殺事件の現場付近
交際トラブルが事件背景か、警視庁が捜査
警視庁の捜査関係者によると、逮捕されたパク容疑者と死亡したバンさんの間には交際関係があったとみられています。さらに、事件発生の約1ヶ月前、8月下旬には、バンさんがパク容疑者との間で発生したトラブルについて、警視庁に相談を持ちかけていたという重要な情報も明らかになっています。警視庁は現在、この交際トラブルと事件との関連性を含め、事件に至った詳しい経緯や動機について慎重に捜査を進めています。
襲撃時の状況と現場の様子、目撃者の証言
バンさんは生前、アパレル関連の仕事をしており、事件当日はフォトスタジオで撮影を行っていました。休憩のため一時的に外に出た際、突然パク容疑者に襲われたとみられています。事件現場は、東急田園都市線駒沢大学駅から北東へ約500メートルほどの距離にある住宅街の一角です。倒れているバンさんを目撃した男性(62)は「別の男性が女性の首元をタオルで押さえていたが、女性は全く動かなかった。すごい血だまりだった」と、当時の衝撃的な状況を証言しました。また、近くのビル管理人の男性(73)は「午後2時前にパトカーの音が非常に大きく、高速道路の音かと思ったら隣で事件があったと知り驚いた。容疑者が早く捕まってほしいと願っていた」と語り、地域住民の不安と安堵の入り混じった心情を伝えています。
世田谷区教育委員会が対応、学校への注意喚起
今回の事件を受けて、世田谷区教育委員会は区立の全小中学校に対し、メールで緊急の対応策を送信しました。事件当日は始業式が行われたばかりで、すでに下校した子どもたちに対しては、改めて学校に戻らないよう促すとともに、校内にいる子どもたちには校内にとどまるよう指示が出されました。地域の子どもたちの安全確保に向けた迅速な対応が取られました。
今回の世田谷区での女性刺殺事件は、交際関係にあったとされる男女間のトラブルが背景にあるとみられており、警視庁は引き続き事件の全容解明に向けて捜査を本格化させています。事件の背景にある具体的な動機や、事前に警察に相談があったにもかかわらず悲劇を防げなかった経緯など、今後の捜査の進展が注目されます。
参考文献
朝日新聞社