10月21日正午、運命の首班指名選挙を前に、高市早苗自民党総裁(64)は議会場前で写真撮影に応じ、カメラマンからの呼びかけに「ゲッツ!」ポーズを見せた。その表情には、憲政史上初の女性首相という歴史的瞬間に臨む自信と余裕が満ち溢れていた。しかし、この自信に満ちたスタートの裏では、彼女の「強引な舵取り」に対する党内外からの批判がすでに高まりを見せている。政権発足から間もないこの時期に早くも短命政権の可能性が囁かれる中、高市新首相の政治手腕と今後の政局が注目される。
高市早苗新首相、首班指名直前に「ゲッツ!」ポーズで余裕の表情を見せる
激務の中で見せた「余裕」と新連立政権樹立への奔走
高市首相は10月4日の総裁選終結以来、政権安定のために休むことなく奔走してきた。自民党職員は、彼女の多忙な日々を次のように明かす。「公明党との決別後、首班指名を受けるべく他党との打ち合わせに駆けずり回っていました。食事もままならず痩せていく中で、最近はスマホゲームのテトリスに没頭したり、阪神戦のテレビ観戦を解禁したりして、クライマックスシリーズでの3連勝に気を良くしていました。」
新たな政権パートナーとして国民民主党との連携を模索したが、これは実現しなかった。しかし、高市首相はすぐに日本維新の会に猛アプローチをかけた。10月12日には、高市首相と木原稔官房長官(56)が藤田文武共同代表(44)と水面下で会談。そのわずか1週間余りで、「自・維連立政権」の誕生へと漕ぎ着けた。このスピーディーな政権樹立は、まさに馬車馬のように働き続けた高市首相の精力的な活動の賜物と言えるだろう。
維新の「無謀な要求」を丸呑み?党内から噴出する批判の声
しかし、この強引ともいえる舵取りに対して、自民党内からは批判が相次いでいる。自民党の中堅議員は、連立合意の内容に強い懸念を示した。「高市さんは、維新が要求した12項目を連立のために全て受け入れたが、『議員定数1割削減』は到底受け入れがたい。日本の国会議員数は主要38ヵ国中36位と世界的にも少なく、1割減らしたところで人件費削減効果は限定的です。維新の要求は目的が不明確で、パフォーマンスに近い。それにもかかわらず、高市さんは内容も期限もそのまま丸呑みしてしまった。今後も維新に『ノー』と言えないのではないかという不安があります。」
さらに、高市首相の政治姿勢についても言及。「高市さんは昔から、こうと思い込んだら周囲が見えなくなる傾向がある。2005年の衆院選で再選した頃、安倍晋三元首相に取り入るために『当時の国際環境を鑑みれば太平洋戦争を誤りと断ずることは傲慢だ』といった主張を繰り返すようになり、日本会議にまで名を連ねた。その結果、安倍元首相の覚えがめでたく、2006年に内閣府特命担当大臣になった。この成功体験が、彼女の暴走癖に拍車をかけたのかもしれない」と指摘した。
衆議院選挙の調査・検討を行う選挙制度調査会会長を務める自民党の逢沢一郎元外務副大臣(71)は、自身のSNSで定数削減について「地方の定数がさらに少なくなる」とし、「論外」と切り捨てている。公明党の斉藤鉄夫代表(73)をはじめ、野党からも反対の声が上がっており、高市首相の決断が広範な波紋を呼んでいることがわかる。
「目先のことしか見ていない」専門家が指摘する政権の孤立化
政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、高市首相の行動を「目先のことしか考えていない」と厳しく評価する。「首班指名のため、つまり自分のために維新が投げたボールを全て受け止めている。公明党とは復縁の目があったにもかかわらず、さらに距離が開いてしまった。各所に遺恨を残す形となり、政権の孤立を深めたと言わざるを得ない」と、高市政権が周囲との協調を欠いている現状を指摘した。
地方組織からの嘆きと「高市おろし」の現実味
関西を中心に全国各地で維新と激しい選挙戦を繰り広げてきた自民党の地方組織にとって、今回の連立は大きな打撃となっている。大阪に基盤を持つ元衆議院議員は、その嘆きを語った。「『大阪を立て直すために維新と戦ってほしい』と我々に思いを託してくれた有権者たちに、どう説明すればいいのか。高市さんでなくとも、幹事長なりが電話一本くれれば、それを手土産に各所に説明に回れるのに、地方へのフォローは一切ない。改めて深謀遠慮がない人だと痛感しました。」
党内外、そして地方議員との間にまで大きな溝ができつつある高市首相だが、本人は意気軒高にバラ色の未来を描いているようだ。しかし、自民党のベテラン議員は「百日天下で終わる可能性が高い」と厳しい見方を示す。「連立のために年内に無理矢理実行せざるを得ない議員定数削減に加え、維新は企業・団体献金の禁止も要求している。さらに敵だらけとなった高市首相が党内をまとめられるとは思えない」と、政権の脆弱性を露呈した。
内閣不信任案提出の可能性と今後の政局
首相になるためだけの政治判断を重ねたことこそが、高市政権が短命で終わる「残念な理由」と言えよう。山積する課題を前に、目先の帳尻合わせに終始するようでは、野党は早々に内閣不信任案を提出し、高市首相に解散を迫る可能性も十分に考えられる。全国紙政治部デスクは、今後の政局をこう分析する。「この2週間で大局観の無さが露呈したが、国民民主党の玉木雄一郎代表(56)だって虎視眈々と名誉挽回のチャンスを狙っている。自・維連立では衆参とも過半数に届いていないため、今度こそ野党が玉木代表を中心に『打倒高市』を目指すことは十分考えられるシナリオです。今の臨時国会を乗り越えられたとしても、来年の通常国会は一筋縄ではいかないでしょう。」
前出の角谷氏も同意見だ。「内閣不信任案が出されなくとも、『このままでは自民党も地方組織も壊れる』という声が強まれば、総裁選で小泉進次郎氏(44)を推した議員や首相経験者たちが動き出す。『高市おろし』が始まるのにそう時間はかからないのではないか」と予測する。「初の女性首相」という歴史的な称号が、超短命政権という結果に終わるのか、今後の動向から目が離せない。
参考資料
FRIDAYデジタル




