中国・天津で開催された上海協力機構(SCO)首脳会議が1日に閉幕し、米国の貿易圧力が高まる中、中国の習近平国家主席は「覇権やいじめ行為に反対する」と明確な対抗姿勢を示しました。同時に、北朝鮮の金正恩総書記が約6年半ぶりに中国を訪問し、北京での軍事パレード出席や習主席との会談が予定されるなど、国際情勢の新たな動きが注目されています。
上海協力機構首脳会議:米国への対抗姿勢鮮明に
今回の上海協力機構首脳会議では、議長を務めた習近平国家主席が、中国とロシアが主導する同機構の国際的な影響力増大を強調しました。トランプ米政権による「米国第一主義」と貿易摩擦を念頭に、「覇権やいじめ行為に反対する。我々は平等で秩序ある世界の多極化を推進し、より公正・公平な世界統治システムの構築を促進すべきだ」と述べ、多国間協調の重要性を訴えました。
上海協力機構首脳会議:習近平、プーチン、モディ各首脳が親密さをアピールし、多国間協調を強調する様子
会議前には、習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、インドのモディ首相がカメラの前で親密さをアピール。モディ首相は「上海協力機構は、多国間主義と包摂的な世界秩序の指針となり得る」と述べ、プーチン大統領も「この組織はグローバルな開発プロセスにおける強力な推進力として機能し、真の多国間主義を確立している」と賛同しました。各国首脳は「多国間協調」を主張し、内政干渉への反対などを盛り込んだ「天津宣言」に署名しました。
金正恩総書記、6年半ぶり訪中:中朝関係の新たな動き
一方、北京で3日に予定されている大規模な軍事パレードには、プーチン大統領のほか、北朝鮮の金正恩総書記も出席する予定です。朝鮮中央通信は2日、外相らと談笑する金総書記の写真を公開しました。この写真は北京に向かう専用列車内で撮影されたとみられています。
北朝鮮の労働新聞によれば、金総書記は2日、約6年半ぶりに国境を越え中国側に入りました。この後、習主席との会談が行われるものとみられ、中朝関係の強化や北朝鮮の外交における新たな局面が注目されています。
結論
上海協力機構首脳会議における「多国間主義」の強調と米国への対抗姿勢、そして金正恩総書記の中国訪問は、世界秩序の変革期における主要国の動きと中朝関係の新たな展開を示唆しています。これらの動向は、今後の国際情勢、特に東アジアの地政学的なバランスに大きな影響を与える可能性があります。
参考文献
- テレビ朝日「グッド!モーニング」2025年9月2日放送分より
- 朝鮮中央通信
- 労働新聞