サントリー新浪剛史会長が辞任、大麻成分サプリ巡る捜査が背景

サントリーホールディングスは9月2日、東京都内で緊急記者会見を開き、同日付で代表取締役会長の新浪剛史氏(66歳)が辞任したことを発表しました。この辞任は、新浪氏が「適法であるとの認識のもとで購入したサプリメント」を巡り、警察当局の捜査を受けていることが理由とされています。日本を代表するグローバル企業であるサントリーのトップが、このような形で職を辞する事態は、経済界に大きな衝撃を与えています。

麻薬取締法違反疑惑で辞任を発表したサントリー新浪剛史前会長麻薬取締法違反疑惑で辞任を発表したサントリー新浪剛史前会長

捜査の経緯と新浪氏の釈明

全国紙の社会部記者の情報によると、福岡県警は先月、新浪氏の自宅を家宅捜索しました。新浪氏は、大麻由来の成分が含まれた製品をアメリカから輸入したとして、麻薬及び向精神薬取締法違反の疑いが持たれています。これに対し新浪氏は、「適法なものだと思っていた」と説明しているほか、日テレNEWSの報道では、捜索時に「知人の女性が一方的に送りつけてきた」と関与を否定している模様です。

実際に、家宅捜索では該当製品そのものは発見されず、簡易の尿検査も陰性だったと報じられています。警察当局は現在も捜査を継続中ですが、疑惑が浮上した時点でサントリー側は「(トップに)求められる資質を欠く」と判断し、新浪氏の辞任に至ったと見られています。捜査の進展と、今後明らかになるであろう詳細に注目が集まります。

新浪剛史氏の輝かしいキャリアと実績

新浪氏は、慶應義塾大学経済学部を卒業後、三菱商事に入社。2002年には、43歳という若さでローソン代表取締役社長兼CEOに就任し、11年連続で営業増益を達成するという手腕を発揮しました。その後、2014年にサントリーホールディングスの代表取締役社長となり、今年3月には同社の代表取締役会長に就任したばかりでした。

また、新浪氏は経済同友会の代表幹事も務めるなど、日本を代表するビジネスパーソンの一人として、多くのメディアに登場し、発言力を持っていました。経済誌記者によると、創業家以外で初めてサントリーのトップに立った”外様”でありながら、同社の創業精神である「やってみなはれ」を体現する人物として高く評価されていたといいます。「クラフトボス」のヒットに代表されるように、ペットボトルコーヒーという新たなジャンルを切り開くなど、大胆なアイデアで次々とヒット商品を生み出し、サントリーの成長を牽引してきました。

驚異的なバイタリティと健康へのこだわり

新浪氏は海外志向が強く、サントリーにおいてもグローバル戦略に注力していました。トップ自らが海外訪問を重視し、毎月何度も海外出張に出かけるほどの行動力を持っていました。過去には「去年は地球25周ぶん出張した」と自慢げに話すこともあったといいます。帰国後にはまずジムに行くという驚異的なバイタリティは、多くのビジネスマンの知るところでした。

「ビジネスの世界を勝ち抜くには、頑健な肉体が大切だ」という考えのもと、健康管理には非常に気を使い、多忙なスケジュールのなかでも週2回ジムに通うことを習慣としていました。60代でありながら身長180センチを超え、筋肉質な体型を維持しており、その貫禄ある姿は多くのメディアで紹介されていました。今回のサプリメントを巡る疑惑は、新浪氏の高い健康意識ゆえの行動であった可能性も指摘されており、当局は引き続き慎重に捜査を進めています。

まとめ

サントリーホールディングスの新浪剛史会長が、大麻由来成分を含むサプリメントを巡る警察の捜査を受け、急遽辞任しました。新浪氏自身は製品の適法性を認識していたと主張し、関与を否定していますが、サントリーはトップとしての資質を欠くと判断しました。輝かしいキャリアと実績、そして「やってみなはれ」の精神でサントリーを牽引してきた新浪氏の突然の退任は、日本経済界に大きな波紋を広げています。警察当局による捜査は現在も継続されており、今後の展開が注目されます。


参考文献

  • 時事通信フォト. (日付不明). サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した.
  • NEWSポストセブン. (2025年9月2日). 《麻薬取締法違反の疑い》家宅捜索が行われた新浪会長の自宅マンション.
  • 日テレNEWS. (日付不明). サントリー新浪会長が辞任へ…サプリメント巡り警察が捜査.
  • Yahoo!ニュース. (2025年9月2日). サントリー新浪会長が「大麻成分サプリ」巡り辞任…「適法だと思った」と容疑否認.