文部科学省の松本洋平大臣は12月2日の記者会見で、学校基本調査の大学進学率の記載において誤りがあったことを認め、集計方法の見直しを指示したと発表しました。この問題は、進学率の算出において特別支援学校中学部の卒業者が除外されていたというもので、識者や一般市民から「差別ではないか」との強い批判が上がっています。
進学率算出の「致命的誤り」とその経緯
今回の問題は、大学進学率が「大学入学者」を「3年前の中学校卒業者(18歳人口)」で割って算出される際、この18歳人口に「特別支援学校中学部の卒業者数」が含まれていなかったことに起因します。松本大臣は会見で「適切ではなく、早急に見直すように指示をした」と説明。この誤った算出方法は1999年度から公表されており、20年以上にわたり特別支援学校中学部の卒業者が進学率の計算から除外されていたことが明らかになりました。当時の算出方法において、なぜ特別支援学校中学部の卒業者が含まれていなかったのか、その経緯については現在も不明とされています。
記者会見で説明する文部科学省の松本洋平大臣
広がる波紋:「差別ではないか」との批判
松本大臣は「不快な思いをされた皆さんには、私からもおわびを申し上げたい。今後、こうしたことがないようにしっかりと徹底したい」と謝罪の意を表明しました。会見では、「差別意識があったのでは」との指摘も飛び交うなど、問題の根深さが浮き彫りになりました。
この問題に対し、インターネット上では「批判を逸らすために簡単に結論出すのではなく、なぜそういうやり方をしていたのか、最初にそのやり方を決めた時の理由を掘り返してほしい」といった、経緯説明を求める声が多数上がっています。
実業家のひろゆき氏も自身のX(旧Twitter)で、「日本という国では、障がい者だと18歳の人口としてカウントされないそうです」と反応し、問題提起を行いました。さらに、先天性四肢欠損症を持つ作家の乙武洋匡氏も、「障害者は『いないこと』にされていました。大学進学率を高く見せるためなのでしょうか。『障害者が大学なんて行くわけない』とタカを括っているのでしょうか。馬鹿にするな」と、憤りを露わにしました。
今後の対応と文科省の「説明責任」
現在、文科省は今後どのような算出方法で集計を行うかについては明確にしておらず、過去分の再集計を行うかについても検討段階に留まっているとのことです。集計方法の見直しや過去分の再集計は当然の措置として求められますが、国民が最も知りたいのは「なぜ排除していたのか」という根本的な理由です。
今回の事態は、該当する方々にとって「差別を受けた」と感じても仕方のない事柄であり、文科省にはその経緯を含め、徹底した説明責任を果たすことが強く求められています。この問題は、単なる統計上の誤りにとどまらず、社会における障害者に対する認識や姿勢を問う重要な課題として、今後の対応が注目されます。





