岸和田元市長・永野耕平容疑者を逮捕:不倫騒動から官製談合疑惑、失職までの経緯

大阪府岸和田市の前市長である永野耕平容疑者(47)が4日、大阪地検特捜部により官製談合防止法違反などの容疑で逮捕されました。かつて「クリーンな市政」を掲げ、30代で市長に就任した永野容疑者は、不倫騒動をきっかけに議会と全面対立。妻を同席させて不倫について説明するという異例の記者会見でも世間の注目を集め、最終的に失職するに至りました。彼の転落は、市民に大きな衝撃を与えています。

「クリーンな市政」を掲げた若き市長の誕生

永野容疑者は岸和田市出身。関西学院大学を卒業後、実家の社会福祉法人で児童養護施設の副園長などを務め、平成27年には大阪府議に初当選しました。彼の政治キャリアは、当時の岸和田市長が自民党の推薦を得るために党支部関係者に現金を供与していたことが発覚し、辞職した「政治とカネ」問題が争点となった市長選をきっかけに大きく動きました。

平成29年の出直し市長選に、永野容疑者は大阪維新の会公認で立候補。「クリーンな市政で岸和田の誇りを取り戻す」と訴え、39歳という若さで初当選を果たします。市長就任後は、社会福祉法人での経験を活かし、認定こども園の設置など子育て支援策に注力。しかし、その一方で、一部市議からは施策の進め方が強引であるとの反発も招いていました。

不倫騒動の発覚と議会との対立

順調に再選を果たした後、永野容疑者のキャリアは暗転します。昨年11月、政治活動で関係のあった女性から性的関係を巡る損害賠償訴訟を起こされ、500万円の解決金を支払うことで和解していたことが発覚。永野容疑者は当初、「裁判では私に責任がないとされたので、謝罪することはない」と不適切な関係を否定していました。しかし、市議会は「説明責任を果たしていない」と強く反発し、不信任決議を可決。これに対し永野容疑者は議会解散を選択します。

不倫騒動」について記者会見を開く大阪府岸和田市の永野耕平前市長(左、当時)と妻の紗代さん。この異例の会見は多くの注目を集めた。不倫騒動」について記者会見を開く大阪府岸和田市の永野耕平前市長(左、当時)と妻の紗代さん。この異例の会見は多くの注目を集めた。

この際、永野容疑者は妻の紗代さんを伴って記者会見を開くという異例の対応を取りました。「今回の事件は当初から夫婦で対応していたので、妻も同席する」と説明し、「(妻からは)許してもらっていない」と認めつつも、不倫問題は家庭内の問題であり「政治家として欠格事項になるとは思わない」と強気の姿勢を崩しませんでした。この会見は大きな波紋を呼び、彼の公私にわたる問題への対応が厳しく問われることとなりました。

失職、出直し市長選での落選、そして逮捕へ

今年2月に行われた市議選を経て、新しい顔ぶれとなった市議会は、再度永野容疑者に対する不信任決議を可決。これにより彼は失職しました。さらに、4月に行われた出直し市長選では無所属で出馬したものの、市民の支持を得られず落選。公職から完全に退いた形となりました。

そして今回、大阪地検特捜部は永野耕平容疑者を官製談合防止法違反などの容疑で逮捕。かつて「クリーン」さを売りに若くして市長となった永野容疑者の政治家としての道は、不倫騒動、議会との対立、そして今回の官製談合疑惑による逮捕という形で幕を閉じることとなりました。今後の捜査の進展が注目されます。

参考資料