米国では、州兵の派遣を巡ってドナルド・トランプ前大統領とイリノイ州知事のJ・B・プリツカー氏の間で激しい対立が表面化しています。この論争は、特にトランプ氏によるプリツカー氏の体型揶揄と、それに対するプリツカー氏の痛烈な反論がソーシャルメディア上で大きな話題を呼びました。米国の政治情勢における個人攻撃の激化を示す一例として注目されています。
トランプ氏との対立で注目されるイリノイ州知事のJ・B・プリツカー氏(左)とドナルド・トランプ前大統領(右)
首都D.C.での成果とシカゴへの検討
8月中旬、トランプ氏は首都ワシントンD.C.に州兵を派遣し、治安維持において一定の成果が得られたと自らを評価しました。これに続き、治安悪化が懸念される地域としてイリノイ州のシカゴを挙げ、同様の州兵派遣を検討していると発表。トランプ氏は当時の会見で、「シカゴに来てほしいと、皆が叫んでいる。彼らはこの赤い帽子と同じものをかぶっている。美しいアフリカ系アメリカ人女性たちが『トランプ大統領、シカゴに来てください』と頼んでいる」と述べ、自身の介入の正当性を主張しました。
プリツカー知事のXでの反論
こうしたトランプ氏の発言に対し、イリノイ州知事のプリツカー氏は8月25日に自身のX(旧Twitter)を更新し、反論しました。プリツカー知事は、「トランプ大統領およびその政権へ。私の州民を傷つけるようなことがあれば、いかなる政治的背景があろうと、どれだけ時間がかかろうとも、憲法に基づき必ずあなたに責任を取らせます」と明確に表明し、州の主権と市民の保護に対する強い意志を示しました。
トランプ氏の個人攻撃とプリツカー氏の反撃
同日、トランプ氏はホワイトハウスでの会見で、プリツカー知事を名指しで攻撃し、「街(シカゴ)に乗り込んだのに、腐敗した政治家やプリツカーのような無能な連中から酷い扱いを受けるのはうんざりだ。あいつはもっとジムに通うべきだ」と、公の場で知事の体型に言及する個人的な批判を展開しました。
この個人的な攻撃に対し、プリツカー知事は中継映像を通じて応戦し、その発言がSNSで大きな話題となりました。知事は「体型のことを言うなら、『同じ穴のむじな』ですよ。大統領もご健康とはほど遠いでしょうから」と述べ、トランプ氏自身の健康状態も指摘。さらに、「個人攻撃は、まるで小学校5年生のいじめっ子のようなもの。自分自身が言われて傷つく言葉を、先に相手に投げつけているだけの男だ」と痛烈に批判し、トランプ氏の発言が幼稚であると断じました。
SNSでの反響
プリツカー知事のこの発言は、ソーシャルメディア上で広範な反響を呼びました。多くのユーザーがプリツカー知事に同調する声を発し、トランプ氏の言動を「ガキ大将」のようだと揶揄するコメントが多数見受けられました。この一件は、政治家間の論争が政策論議から個人的な中傷へと逸脱する傾向が強まっている現状を浮き彫りにしました。
結論
トランプ前大統領とイリノイ州知事プリツカー氏の対立は、州兵派遣という国家安全保障に関わる問題から、政治家による公然たる個人攻撃へと発展しました。プリツカー知事の「小学生レベル」という反論は、政治における品位と成熟度について改めて議論を提起する結果となりました。このような個人的な応酬は、有権者が政策の本質を理解することを阻害し、政治的対話の質を低下させる可能性があります。
参考文献:
- BuzzFeed Japan (2025年9月5日). 「州兵派遣でトランプ氏とイリノイ州知事が対立 体型揶揄に『小学生レベル』と反論」. Yahoo!ニュース.