ウクライナ「安全の保証」へ26カ国が部隊派遣を確約、米国の支援も最終決定へ

パリで開催されたウクライナ支援有志国連合の首脳会合において、フランスのマクロン大統領は、ロシアとの和平合意が成立した場合に備え、26カ国がウクライナへの部隊派遣を確約したと発表しました。この重要な会合後には、マクロン大統領がトランプ米大統領と電話協議を行い、ウクライナに対する「安全の保証」への米国の支援が近日中に最終決定される見通しであると明らかにしました。この動きは、ウクライナの将来的な安全保障体制の確立に向けた国際社会の強いコミットメントを示すものです。

ウクライナへの「安全の保証」と26カ国の部隊派遣合意

欧州を中心に35カ国が参加したパリでの首脳会合では、ウクライナのゼレンスキー大統領と欧州首脳らが集まり、ウクライナへの長期的な支援策が議論されました。マクロン大統領は、共同記者会見で、ウクライナに対する「安全の保証」の一環として、26カ国が陸・海・空のいずれの形態でも部隊を派遣する用意があると表明しました。この「安全の保証」の主な目的は、停戦後にロシアがウクライナを再度侵攻する事態を未然に防ぎ、ウクライナ軍の再建と強化を支援することにあります。マクロン大統領は、「戦闘が止むその日に、安全の保証が発動される」と強調し、その実効性を高める上で米国の後ろ盾が不可欠であるとの認識を示しました。

ウクライナ支援に関してトランプ大統領と電話協議するマクロン仏大統領ウクライナ支援に関してトランプ大統領と電話協議するマクロン仏大統領

主要国からの貢献と異なる立場

マクロン大統領は部隊派遣を確約した具体的な国名を明らかにしなかったものの、有志連合の共同議長国である英国とフランスは、これまでも停戦後のウクライナへの部隊派遣に前向きな姿勢を示してきました。しかし、一部の国の貢献はウクライナ国外での訓練や装備供与にとどまる可能性も示唆されました。ドイツは、米国の関与度合いなど各種条件が明確になった段階で軍事的な関与を判断する意向を示し、イタリアのメローニ首相は、停戦監視や国外でのウクライナ軍訓練には前向きながらも、ウクライナへの部隊派遣は行わない方針を明確にしました。このように、各国はウクライナ支援の意向を持ちつつも、その関与の形式や度合いについては異なる立場を示しています。

ロシア・中国への圧力強化と制裁連携

米ホワイトハウスによると、マクロン大統領との電話協議においてトランプ米大統領は、ロシアの戦争資金源を断つため、欧州に対してロシア産原油の輸入停止を強く要求しました。さらに、中国がロシアの戦争遂行能力を資金面で支えていると指摘し、中国への経済的圧力の必要性を強調しました。これに対し、マクロン大統領は、有志連合と米国がロシアに対する将来的な制裁措置に関して、一層緊密に協力することで一致したと述べました。対象としては、ロシアの石油・ガス部門のほか、中国に対する措置も念頭に置かれていると語り、経済的な側面からの圧力が強化される見込みです。

ゼレンスキー大統領の見解と今後の進展

ゼレンスキー大統領は共同記者会見で、ウクライナと同盟国との間で「安全の保証」に関する「基本的な枠組み」が共有されたことを評価しました。現在、部隊派遣の用意があると表明した各国ごとの関与内容を明確化する文書の作成が進められており、具体的な進展が期待されます。しかし、陸・海・空それぞれの部隊規模については、現時点では公表する用意がないと述べ、詳細な計画が進行中であることを示唆しました。この国際的な連携は、ウクライナの未来、そして欧州全体の安全保障に深く関わる重要な節目となるでしょう。

参考資料

  • ロイター通信 (2025年9月5日). マクロン大統領、ウクライナ「安全の保証」への米支援「近日中に最終決定」. (記事のURLは元記事を参照)