【ワシントン=淵上隆悠】米紙ニューヨーク・タイムズは5日、米海軍特殊部隊「SEALS(シールズ)」が2019年初頭、北朝鮮に金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記(当時は党委員長)の通信を傍受できる電子装置を設置しようとしたが失敗したと報じた。トランプ米大統領が承認した極秘任務だったが、上陸の過程で漁船に見つかり、乗っていた民間人数人を殺害した上、撤退したという。
同紙は関係者20人以上への取材に基づいて報じた。報道によると、作戦は同年2月末にベトナムで開かれたトランプ氏と正恩氏による2回目の米朝首脳会談の前に行われた。
作戦には11年にテロ組織アル・カーイダの元指導者ウサマ・ビンラーディンを殺害した精鋭チームが投入された。原子力潜水艦も使用して夜間に実行したが、漁船に遭遇し、装置の取り付けは失敗した。その後、海域では北朝鮮軍の活動が急増したが、米当局者は同紙に対し、北側が事件の全容を把握しているかどうかは不明だと説明した。