英国エセックスで難民申請者が少女・成人女性への性的暴行などで有罪判決、社会問題に波紋

英国エセックス州エッピングのホテル前で、難民受け入れに関する抗議活動の発端となった事件で、チェルムスフォード治安判事裁判所は4日、エチオピア出身の難民申請者ハドシュ・ケバトゥ被告に対し、14歳の少女と成人女性に対する性的暴行などの罪で有罪判決を言い渡しました。被告はすべての罪状を否認していましたが、判決は被告が少女に声をかけ、不適切な身体接触を行い、性的行為を求めたことを認定しました。この判決は、英国における難民問題と社会の安全保障に対する議論に新たな波紋を広げています。

性的暴行の詳細と公判の経緯

判決によれば、ハドシュ・ケバトゥ被告は7月7日と8日にエッピング市内で、少女に「赤ちゃんがほしい」などと発言し、身体に触れる行為に及びました。判事は、被告が少女への嫌がらせ、性的行為の扇動、そして性的暴行未遂の罪についても有罪であると判断しました。クリストファー・ウィリアムズ地区判事は、今月下旬に予定されている量刑言い渡しにおいて、実刑判決が科される見通しであると警告しています。検察側は、ケバトゥ被告が少女にキスを試みたり、太ももに手を置いたりしたほか、自身の前で別の子どもにキスするよう少女に求めたと主張しました。

公判中の性的暴行被告ハドシュ・ケバトゥ氏の法廷スケッチ画、英国エセックスで。公判中の性的暴行被告ハドシュ・ケバトゥ氏の法廷スケッチ画、英国エセックスで。

この不審なやり取りに気づいた別の女性が介入した際、ケバトゥ被告はその女性の太ももにも手を置いたとされています。女性はすぐに警察に通報し、被告の行為に「ショックを受け、不快に感じた」と証言しました。ケバトゥ被告は公判で、「自分は野生動物ではないし、キリスト教に反する」として無実を主張しました。しかし、ウィリアムズ判事は、被告の証言が「証言台に立ったその時点で初めて、こういう展開だったことにすると決めて」作り出されたものだと指摘し、その信憑性を否定しました。

被告の背景と被害者の証言

ケバトゥ被告は、逮捕されるまでの約1週間、難民資格申請者が滞在する「ベル・ホテル」に宿泊していました。彼は英国に到着するまでにスーダン、リビア、イタリア、フランスを経由してきたと説明しています。公判では、ケバトゥ被告が少女たちに「アフリカに戻ってこい。君は良い妻になる」と話していたという証言も提出されました。被害少女の一人は警察に対し、被告に「いきなり『君から1人、君の友だちから1人、赤ちゃんが欲しい』と言われた」と供述しています。

翌日も同様に、被告は同じ少女に「かわいい」と声をかけ、ベンチでキスをしようとし、太ももに手を置く姿が目撃されました。少女は捜査官に対し、その場で「固まってしまった」と語り、自身が14歳であることを伝えたにもかかわらず、ケバトゥ被告が「年齢は関係ない」と返答したことに「吐き気がした」と証言しました。被告はまた、自身がアフリカ出身であり、「ゴムボート」で英国に渡るために2500ユーロ(約43万円)を支払ったと話していたことも明らかになりました。ウィリアムズ判事は、7月8日の被告の行動が「明らかに性的に興奮した状態にあった」と断定しています。

判決と今後の見通し

ウィリアムズ判事は、判決を言い渡すにあたり、ケバトゥ被告が被害少女が14歳であると知っていたはずであり、2度目の接触時には少女が学校の制服を着ていたことを指摘しました。ケバトゥ被告は9月23日に再度出廷し、その際には「即時の実刑判決」が科される可能性が高いと警告されています。この事件は、英国における難民の受け入れと、それに伴う社会的な課題や安全保障上の懸念を浮き彫りにしています。

参照元

  • BBC News (英語記事: Epping hotel resident guilty of sex assault of girl)