台湾、永住外国人も対象に現金1万元給付へ 卓行政院長が経済強靭化を表明

台湾総統府は5日、国際情勢への対応力を高めるため、経済、社会、そして国土安全保障の強靭性を強化する特別条例の修正条文を公布しました。これを受け、卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は6日、来週中にも特別予算案を立法院(国会)に提出する意向を表明。法案が可決されれば、国民への現金1万台湾元(日本円で約4万8300円相当)の一律給付を1カ月以内に開始すると明言しました。この給付は、台湾の永久居留権(永住権)を持つ外国人も対象に含まれるとされ、広範な支援が期待されます。

経済・社会強靭性強化への特別条例修正

今回の特別条例の修正は、変わりゆく国際情勢の中で、台湾が経済的、社会的に持続可能な発展を遂げ、国土安全保障を盤石にするための重要な一歩と位置付けられています。総統府による修正条文の公布は、この目標達成に向けた政府の強い意志を示すものです。修正案自体は、先月に行政院院会(閣議)で決定され、その後、立法院で正式に可決されていました。これにより、新たな経済刺激策や社会保障制度の導入に向けた法的基盤が整いました。

卓行政院長、1万元給付を表明

台北市内で開催されたイベントに出席する前、報道陣の取材に応じた卓行政院長は、現金給付の詳細について言及しました。同院長は、立法院に対し、総額5700億台湾元(約2兆7500億円)に上る特別予算案の速やかな審議と可決を要望。これにより、より多くの産業が支援され、国民生活の安定が図られることを強く望むと述べました。給付される現金1万台湾元は、過去の給付と同様に、永久居留権を有する外国人も受給対象に含まれる方針です。卓院長は、支給完了から7カ月以内に、人々がこの給付の恩恵を実感できるだろうと説明しました。詳細な給付対象者については、行政院関係者が確認後、改めて説明を行うとしています。

台湾政府による1万台湾元現金給付のイメージ。永住権を持つ外国人も対象となる経済支援策を示唆。台湾政府による1万台湾元現金給付のイメージ。永住権を持つ外国人も対象となる経済支援策を示唆。

過去の現金給付と対象範囲の経緯

台湾では2023年にも、新型コロナウイルス感染症後の経済振興策として特別予算案が可決され、1人当たり現金6000台湾元(約2万8900円)が給付された経緯があります。当時の給付対象は、国民のほか、各レベルの政府機関が派遣した在外職員とその家族(中華民国籍を有する者)、中華民国国民の中国・香港・マカオ籍および外国籍の配偶者で居留許可を取得している人、そして永久居留証を取得している外国人など、幅広い層に及びました。今回の1万台湾元給付も、この前例を踏襲し、台湾に長期滞在する外国人を含む、より多くの住民が支援の恩恵を受けられるよう設計されています。

結び

台湾政府が打ち出した現金1万台湾元の一律給付は、国際情勢の変動に対応し、国内経済と社会の強靭性を高めるための戦略的な措置です。特に、永住権を持つ外国人をもその対象に含めるという決定は、台湾社会の包容性と、全ての人々に対する政府の責任感を示すものです。卓行政院長が言及した通り、特別予算案の早期可決と給付の迅速な実施が実現すれば、台湾の多くの住民が経済的な恩恵を受け、社会全体の安定と発展に寄与することが期待されます。

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