ニュージーランドで4年間逃亡のフィリップス容疑者、警察との銃撃戦で死亡 子ども3人を保護

ニュージーランドで4年間にわたり3人の子どもを連れて逃亡していたトム・フィリップス容疑者(5歳)が、警察との激しい銃撃戦の末に死亡したことが8日、当局の発表により明らかになりました。この事件は、長年の大規模な捜索活動に終止符を打ち、社会に大きな衝撃を与えています。

4年間にわたる逃亡劇と捜索活動

フィリップス容疑者は2021年12月、元パートナーとの対立をきっかけに、当時幼かった3人の子どもを連れ去り、北島の広大なワイカト地方の奥地へ姿をくらませました。子どもたちと共に何度も目撃情報は寄せられましたが、人里離れた森のキャンプ場などを転々としながら身柄確保を逃れ続けていました。先月には、子どもの一人とみられる人物と共に店に侵入する様子が防犯カメラに捉えられ、その大胆な行動が注目を集めていました。警察はこれまで、地域住民からフィリップス容疑者とその子どもたちへの支援があったと見ていましたが、最近ではその支援が途絶え、より強硬な手段に訴えるようになった可能性が指摘されています。

警察との激しい銃撃戦

2025年9月8日、ワイカト地方ピオピオ近郊で発生した強盗事件の通報を受け、警察が出動。現場付近でフィリップス容疑者と遭遇し、銃撃戦に発展しました。この交戦により、フィリップス容疑者は射殺されましたが、警官の一人も高威力のライフルで頭と肩を撃たれ重傷を負いました。負傷した警官はヘリコプターで病院に緊急搬送され、手術を受けているとニュージーランド警察のジル・ロジャース代理副長官が発表しました。ワイカト・タイムズ紙が撮影した現場写真には、道路上に倒れたフィリップス容疑者の姿と、数メートル離れた溝に落ちたライフルが鮮明に捉えられています。

ニュージーランド、ワイカト地方での警察とトム・フィリップス容疑者の銃撃戦現場付近に設けられた通行止めの標識ニュージーランド、ワイカト地方での警察とトム・フィリップス容疑者の銃撃戦現場付近に設けられた通行止めの標識

子どもたちの保護と母親の安堵

銃撃戦の現場では、子ども一人(9歳、10歳、12歳のいずれか)が無事に保護されました。その後、1日がかりの広範囲な捜索活動が行われ、残る二人の子どもも人里離れた森のキャンプ場で同日午後1時30分(日本時間)ごろに発見されました。ロジャース代理副長官は、「子どもたちが無事で、必要なケアを受けていることを確認し、安堵している」と述べました。3人全員に外傷はなく、別々の場所で保護されたため、父親の死についてはまだ知らされていない可能性があります。3人の子どもの母親である「キャット」として知られる女性は、国営放送RNZに対し、子どもたちを取り戻せたことに深い安堵の気持ちを表明。「約4年間、毎日子どもたちを恋しく思っていました。愛情とケアをもって3人を家へ迎えるのを楽しみにしています」と語りました。その一方で、「今日の結末には悲しみを感じる」とも述べ、子どもたちが「安定した愛情あふれる環境」に慣れるまでプライバシーを尊重するよう求めました。

今回の事件は、長年にわたる逃亡劇の終わりであると同時に、子どもたちの未来に向けた新たな章の始まりでもあります。社会全体が、子どもたちがこの困難な経験から立ち直り、平穏な生活を取り戻せるよう見守っていくことでしょう。


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