伊東市 田久保真紀市長の学歴詐称疑惑と議会解散:「田久保劇場」の真の狙い

静岡県伊東市の田久保真紀市長が、自身の学歴詐称疑惑を巡る市長不信任案の可決を受け、市議会を解散しました。この一連の動きは「田久保劇場」とも評され、その展開に国内外の注目が集まっています。元東洋大学研究助手で、神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は、市長の振る舞いが「現実から目を逸らしているだけではないか」と指摘しています。本稿では、この問題の背景と、田久保市長の行動の真意、そして今後の展望を深く掘り下げていきます。

市長不信任案可決から議会解散へ:疑惑の経緯

田久保真紀氏は、今年5月25日の伊東市長選挙で、現職の小野達也氏を抑え初当選を果たしました。投票率は前回を上回る49.65%で、市民の高い関心を示す結果となりました。選挙戦では、「伊豆高原メガソーラー訴訟を支援する会」の元代表としての活動や、新図書館建設の見直しなどを公約に掲げ、「既存政治家に対抗する改革派の旗手」というイメージで多くの支持を集めました。

しかし、当選直後に市が作成した広報誌「広報いとう」や選挙戦でのマスコミへのアンケート回答で、「平成4年 東洋大学法学部卒業」と記載したことが、匿名投書によって学歴詐称疑惑として浮上します。当初、田久保市長は自身の公式サイトで「単なる噂話を元にした誹謗中傷に過ぎない」「公式に発表している経歴に間違いはない」と弁明していました。

伊東市議会で発言する田久保真紀市長(2025年9月1日)伊東市議会で発言する田久保真紀市長(2025年9月1日)

ところが、6月28日には田久保氏自身が東洋大学に照会した結果、「卒業」ではなく「除籍」であったことが判明。それにもかかわらず、「卒業証書を持っている」などと主張を続けたため、伊東市議会は真相解明のため百条委員会を設置するに至ります。この過程で、市民の間では市長の言動に対する不信感が募り、事態は一層複雑化していきました。

「改革派」対「守旧派」の構図か?そして「全容」とは

学歴詐称疑惑を巡る一連の動きは、一部では「既存政治家vs.改革派」という政治的対立の構図として捉えられています。特に田久保市長の支持者にとっては、学歴詐称を追及する市議会が、前市長を含む「守旧派」の象徴として映っている可能性も指摘されています。市長不信任案が全会一致で可決された後、市長が議会解散という強硬手段に出たことも、この対立構造をより明確にしたと言えるでしょう。

田久保市長は、市議会百条委員会の審議が続く最中の8月16日に、自身のX(旧Twitter)に次のような意味深な投稿をしています。

「今回の騒動の全容がやっと見えてきました。事実関係に基づいてその目的を明らかにしてきます。」

この「全容」が何を指すのか、推測の域を出ませんが、投稿の4日後である20日から25日にかけて、市長がXで断続的に「伊豆高原メガソーラー」について言及している点から、市長がこの学歴詐称疑惑とメガソーラー問題との関連性を主張しようとしている可能性が考えられます。もしそうであれば、市長は自身の疑惑を巡る議論から、別の政治的争点へと市民の関心を移そうとしているのかもしれません。

結論

伊東市の田久保真紀市長が抱える学歴詐称疑惑と、それに伴う議会解散は、地方政治における信頼性の問題、そして市民に対する説明責任の重要性を浮き彫りにしています。「田久保劇場」と評される一連の振る舞いが、本当に市民にとって有益な情報を提供し、問題を解決に導くものなのか、あるいは現実から目を逸らすための戦術なのか、その真の狙いはまだ明らかではありません。今後、再選挙を経て新議会が発足する中で、市長がこの疑惑に対しどのような説明責任を果たし、市民の信頼を回復していくのかが、伊東市の未来を左右する重要な鍵となるでしょう。日本全国、そして世界の政治社会ニュースとして、伊東市政の動向は引き続き注視されていくこととなります。

参考文献

  • Yahoo!ニュース. 「静岡県伊東市議会の本会議に出席した田久保真紀市長=2025年9月1日」. 共同通信社. (元の記事の画像出典)
  • PRESIDENT Online. 「学歴詐称疑惑をめぐり、静岡県伊東市の田久保真紀市長が議会を解散した」. (元の記事の本文出典)
  • 田久保まき・伊東市長 公式X (旧Twitter) (元の記事の市長投稿の引用元)