スペイン・マドリードで延長2日目の15日も議論が続いた国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)では、温室効果ガスの排出削減目標の引き上げや残る実施ルール作りをめぐって参加国が対立し、議論が難航した。「パリ協定」の本格始動が2020年に迫る中、その効果的な実行に不安を残した。(宮下日出男、北京=三塚聖平)
「到達した合意は十分とはいえない」。議長を務めるチリのシュミット環境相は15日午後の全体会合でこう語り、会議を総括した。
延長期間がCOP史上で異例の長さに及んだ会議の焦点の一つとなったのは、温室効果ガス削減目標の引き上げ。各国がこれまでに約束した削減目標では、気温の上昇を2度未満に抑えるとしたパリ協定の目標を達成できないため、各国の削減上積みが不可欠だ。
だが、採択文書に盛り込む文言で議論は紛糾。欧米メディアによると、最終的には削減強化が「緊急に必要」との表現を含めることで参加国は折り合ったが、各国に強く促すまでには至らなかった。
削減目標の議論では、欧州連合(EU)が積極的な姿勢を見せた。会議に合わせて行政執行機関の欧州委員会は11日、30年の目標とする削減幅を1990年比40%から50~55%に拡大する提案を発表。排出量を50年までに「実質ゼロ」にする目標の法制化も目指す。