海上自衛隊最大級の護衛艦「かが」は、固定翼戦闘機F-35Bの運用能力を持つ「事実上の空母」として、日英米豪加諾(ノルウェー)の各国艦隊との共同訓練のため、歴史的な航海に出ました。この重要な任務に、報道カメラマンとして宮嶋茂樹氏が10日間にわたり同乗し、その実態を詳細に記録しました。
「かが」の「空母化」と歴史的背景
9月8日、護衛艦「かが」は長崎県佐世保基地沖から抜錨し、東シナ海を経て西太平洋へ向かい、その後北上して豊後水道を抜け、母港である呉基地への10日間の航海を開始しました。この航海では、F-35Bの飛行甲板上での運用訓練が実施され、事実上の「空母」としての能力が確認されました。過去に宮嶋氏もF-35Bの運用訓練を取材した経験がありますが、今回は艦内全域にわたる取材が許されました。注目すべきは、今回の共同訓練の中核となる英国空母「プリンス・オブ・ウェールズ」と「かが」が、かつて第二次世界大戦で敵同士であったそれぞれの先代艦の歴史を乗り越え、現代の防衛協力を象徴する存在として共に航海した点です。日英両国は、一時的な対立を経て、現在再び連携を強化しています。
東シナ海を航行する海上自衛隊の護衛艦「かが」の雄姿
国際共同訓練とメディアの視点
この大規模な多国間共同訓練には、英国、米国、オーストラリア、カナダ、ノルウェーの各海軍艦隊が集結し、西太平洋における安全保障体制の強化を図りました。全長248m、基準排水量1万9500トンを誇る「かが」は、500人以上の乗員の他、災害派遣などを想定した陸上自衛隊員等450人以上を収容できる設備を有しています。しかし、この歴史的な航海に同乗を許されたメディアはわずか4社4名に過ぎず、そのうち3名は雑誌媒体(軍事専門誌2名、朝日新聞記者1名)であり、テレビメディアの参加はありませんでした。これは、国際的な防衛協力の最前線で何が起きているのかを伝える、極めて貴重で独占的な機会であったことを示しています。
「かが」の航海は、単なる共同訓練に留まらず、日本の防衛戦略における新たな展開、そして日英をはじめとする国際社会との緊密な連携の重要性を浮き彫りにしました。この経験は、海上自衛隊の能力と国際貢献の深化を世界に示すものです。
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