高齢運転者の事故防止対策について検討していた警察庁の有識者分科会は19日、事故歴や特定の違反歴がある高齢者を対象に、免許更新時の実車試験を導入し、運転技能が特に不十分な場合は免許更新を認めないなどとする中間報告をまとめた。衝突被害軽減ブレーキなどを搭載した「安全運転サポート車(サポカー)」のみの運転を認める限定免許制度も創設し、高齢者らが自主的に選択できるようにすることも盛り込んだ。
警察庁は今回の中間報告を踏まえ、来年の通常国会に道路交通法の改正案を提出する方針。道交法改正後、2年をめどに施行される見通し。
中間報告によると、実車試験では、高齢者が免許を更新する際に自動車教習所のコースで実際に自動車を運転してもらう。安全確認や走行、停止などの課題を点数化するとした。複数回の受験を可能にし、不合格だった場合には同乗する検査官がアドバイスするが、最終的に合格点に届かなければ免許の更新を認めないようにするという。
試験の対象年齢は、認知機能検査が始まる「75歳以上」や死亡事故を起こす割合が顕著に高まる「80歳以上」を検討。ただ、運転技能には個人差があるため、過去の事故歴や信号無視、大幅な速度超過など特定の違反歴で事故発生リスクの高い高齢者を絞り込む案が示された。
警察庁の調査によると、75歳以上の高齢運転者のうち、過去3年間に違反歴があるのは2割程度で、死亡重傷事故を起こす割合は全体の約2倍に上るという。警察庁は、違反の種別や回数によって事故発生の割合が異なるかについて調査を進め、実車試験の対象となる年齢区分や受験可能回数、「特定の違反歴」を決定するとしている。