取材者プロフィール
アユミさん(仮名):48歳、2000年関西の私立大学卒業。
安定した公務員と結婚し、専業主婦として2児の子育てをしていたアユミさん。県庁で働く夫のユウタさんは、「出世コース」と目される東京事務所に転勤になり、前途洋々のはずでした。
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ところがなんと、転勤2ヵ月でユウタさんは休職。東京事務所の上司と反りが合わず、抑うつ状態に陥ってしまったのが理由でした。休職で収入は激減、しかも、結婚7年目で貯金が100万円しかないと知ったアユミさんは、自分が仕事をして得た収入を家計の足しにしようと考えます。
「最初は、子どもたちが学校に行っている10時〜14時くらいで事務職のパートができれば、と考えていました。でも、それは甘いということは仕事探しを始めてすぐに気が付きました。10時〜14時で事務職のパートを募集している会社など滅多にありませんし、たとえ見つけて応募してもいつも『応募者多数で既に募集は終了しました』と言われます。
飲食店のランチタイムなら求人が多いのではないかと思いましたが、面接に全く合格できなかったんです。ずっと主婦だったこと、大学時代のアルバイトでさえ飲食店で働いた経験がないこと、そして子どもが小さいことを理由に、断られてばかりでした」
職探しを初めて半年ほど経った時、アユミさんは東京都の外郭団体の非常勤職員募集を新聞の求人欄で見つけました。「庶務業務補助(電話対応・書類整理・来客対応など)、時給1000円〜、交通費支給(上限あり)、各種保険完備、委細面談」と書かれていた求人情報を見て、アユミさんはすぐに応募します。
「電話対応・書類整理・来客対応は、まさに私が県庁で臨時職員として働いていた時にやっていた仕事です。しかも、職場が自宅から自転車で10分ほどの近いところにあったんです。時給も1000円もらえるなら充分ではないかと思いました」
アユミさんが仕事を探していた2010年当時、東京都の最低賃金は821円でした。結婚後に7年のブランクがある主婦にとっては、1000円は魅力的に映ったといいます。こんな好条件のパートならきっと応募者がたくさんいるだろう、書類で不合格になっても仕方がないと思っていたアユミさんでしたが、意外にもすぐに面接の案内が来ました。






