12月8日深夜に発生した青森県八戸市で最大震度6強の地震を受け、初の「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表された。続いて巨大地震が起こる可能性もあるという。この情報をどうとらえればいいのか。AERA 2025年12月22日号より。
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深夜の強い揺れから2時間45分後の12月9日午前2時。気象庁と内閣府が「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表した。
対象となったのは、主に太平洋側の地域で、北海道から千葉県にかけての7道県182市町村。「16日午前0時までの『特に注意を要する1週間』に続いて起きる可能性のある巨大地震への警戒を強めることを求める」ものだが、耳慣れない「後発地震注意情報」に、さらなる不安が広がった。
「後発地震注意情報」は、最大約20万人の死者が想定される日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に備え、2022年12月に新設された。今回の地震が条件を満たしたため、初めての発表となった。
気になるのは、「続いて起きる可能性のある巨大地震」だ。想定されているのは、マグニチュード(M)8~9クラスで、2011年の東日本大震災を超える可能性のある地震という。
今回対象となった地域では、震度6弱以上の揺れ、もしくは3メートル以上の津波がくる計算となり、1週間は非常に気が抜けない状況であることが示されたのだ。
■備えを見直す契機に
内閣府は発表直後の9日未明に記者会見を開き、担当者がこう呼びかけた。
「初めての情報に戸惑う人もいるかもしれないが、次に起こるかもしれない地震に対し、冷静に備えてほしい」
高まる緊張感。だが、世界の統計を元に考えると、M7級の地震が起きて1週間以内にM8級以上の巨大地震が起こるのは、100回に1回程度とされている。つまり、必ず巨大地震が起きるわけではなく、気象庁も「極めて不確実性が高い情報」としている。けれど、警戒を強めておくに越したことはないだろう。
今回の「後発地震注意情報」の対象となった地域では、道路や鉄道、空港などの交通インフラは、巨大地震の発生に備えつつ平常通りとされている。学校や商業施設も休業せず、平常通りの運営でOKだ。
住民に求められているのは、家具の固定や避難場所、経路の確認など日頃の備えの再点検。なかでも津波の恐れがある地域では、すぐに逃げられる服装で寝たり、逃げるときに持っていきたいものを枕元に置いたりすることが推奨されている。
2011年の東日本大震災からまもなく15年。日本で巨大地震の可能性が切迫している状況は間違いない。初の「後発地震注意情報」を備えを見直す契機としたい。
(編集部・古田真梨子)
※AERA 2025年12月22日号
古田真梨子






