『スキャンダルイブ』第5話:芸能界の闇に葬られた夢と性加害の告発

ABEMAオリジナルドラマ『スキャンダルイブ』の第5話が12月17日に無料配信され、その内容は視聴者に衝撃を与えました。週刊誌記者・平田奏(川口春奈)の妹である莉子(茅島みずき)が、KODAMAプロダクションの看板俳優・麻生秀人(鈴木一真)から受けた性加害を告白し、芸能界に深く根差す搾取の構造と、被害者の抱える苦悩が鮮明に描かれました。本作は、スキャンダルを巡る芸能事務所と週刊誌の攻防を描く中で、社会が目を背けてきた問題に切り込んでいます。

芸能界に潜む闇:莉子を襲った性加害の告白

第5話の核心は、莉子が誰にも打ち明けられずにいた“あの夜”の真実を語り始めたことです。家族の反対を押し切って上京し、小さな芸能事務所の門を叩いた莉子は、マネージャーから「正式所属まであと一歩」「社内でも光るものがある」と期待を持たされ、高額なレッスン料を払い続ける日々を送っていました。しかし、経済的にも精神的にも追い詰められた莉子が参加したKODAMAプロダクション主催の大型オーディションは、最初からグランプリが決まっていたとされる“出来レース”であったことが判明します。

夢の入り口から地獄へ:麻生秀人との出会い

失意の中、莉子の元に届いたのは、「俳優・麻生秀人も参加する。KODAMAプロダクションと繋がりを持てるかも」と紹介されたパーティーの招待状でした。パーティーで麻生は、夢を追う莉子に優しく寄り添うように振る舞います。参加者が次々と会場を後にし、二人きりとなった空間で、莉子が「もう少し話したい」と答えた時、麻生は豹変しました。酒に酔った莉子に強引にキスを迫り、抵抗する莉子を言葉巧みに追い詰め、最終的には押し倒すという行為は、夢を追う少女の立場を利用した明白な性加害でした。

「自己責任」の呪縛と事務所からの裏切り

翌朝、莉子に渡されたのはタクシー代と現金2万円だけ。麻生やKODAMAプロダクションからの連絡は一切なく、当時のマネージャーに相談しても「色仕掛けで失敗しただけ」と突き放され、事務所を解雇されてしまいます。莉子は長らく「自己責任だ」「抵抗できなかったなんて言い訳」「仕事につながるかもとあいつに近づいたのが悪い」と自分を責め続けてきました。「あいつが裁かれてこの世界から消えない限り、私は自分の人生を取り戻せない。償わせたい。心から謝ってほしい」と悲痛な思いを訴えながらも、「今さらおかしいかな」「元はと言えば私が自分から……」と葛藤する莉子の姿は、多くの被害者が直面する苦悩を浮き彫りにします。

「スキャンダルイブ」第5話「スキャンダルイブ」第5話

罪悪感と葛藤、そして希望の光

莉子が抱える深い罪悪感と葛藤に対し、芸能事務所社長・井岡咲(柴咲コウ)は「麻生は地位を利用して莉子さんの夢を追う気持ちに漬け込んだ。しかも密室の2人きりの状況で。これは歴とした性加害です。莉子さんが自分を責める必要なんてない」とはっきり明言しました。これまで何度も握り潰されてきた莉子の訴えが、初めて肯定された瞬間でした。そして、奏もまた莉子の告白を正面から受け止め、「もう一度、記事を出すために動いてみる」「話してくれてありがとう」と優しく語りかけ、新たな決意を固めます。咲と奏の言葉は、絶望の淵にいた莉子にとって、大きな希望の光となりました。

告発への動きと新たな妨害

咲と奏、そして莉子の3人が告発に向けて動き出した一方で、水面下ではKODAMAプロダクションが動き出していました。KODAMAプロダクション本部長・明石隆之(横山裕)は3人の様子を物陰から見つめ、社長・児玉蓉子(鈴木保奈美)は「早めに手を打ったほうが良さそうね」と静かに言い放ち、“ある先手”を打ちます。フリーライターの近藤(浜中文一)を莉子のもとへ向かわせ、「あなた週刊誌で告発しようとしてますよね?」と揺さぶりをかけるKODAMAプロダクションの妨害工作は、莉子を再び絶望の淵へと突き落とそうとします。

莉子の衝撃的な告白と、芸能界の奥深くに潜む搾取の構造に対し、視聴者からは「続きが怖いのに、目を逸らせない」「感情が乱される回」「ヒリヒリ感がすごい」といった声が多数寄せられました。次回はついに最終回。果たして莉子の運命は、そして性加害は報じられるのか、その結末に注目が集まります。このドラマは、単なるエンターテインメントを超え、社会における権力と弱者の関係、そして被害者の尊厳について深く考えさせる内容となっています。