SNS上で高市早苗氏の事務所公認グッズとして販売されている、異例の高額な歯ブラシが大きな話題を呼んでいます。1本あたり3300円、2本セットで6600円(税込み)という価格設定に、多くのユーザーから驚きと疑問の声が上がっており、政治家グッズの価格の妥当性について議論が巻き起こっています。
注目集める高市氏公認「Veanas号公式グッズストア」の実態
この話題の歯ブラシを販売しているのは、高市氏のグッズ関連オンラインストア「高市早苗 Veanas号公式グッズストア」です。ストア名は、高市氏が今年9月から10月にかけて全国を巡回する際に使用したワゴン「Veanas号」に由来しています。このストアの企画・運営は、高市氏が支部長を務める「自民党奈良県第二選挙区支部事務所」と同じ場所に本店を構える「Veanas合同会社」が行っています。商品の販売業務は、Veanas合同会社の委託を受けた大阪市の「PoliLab合同会社」が担っています。
このPoliLab合同会社は、SNSコンサルティングや動画編集、HP作成などを主な業務としています。同社の代表を務める男性は、2023年の大阪・豊中市議選に自民党公認で立候補しましたが落選しています。自民党大阪青年局のウェブサイトには現在も男性のプロフィールが掲載されており、高市氏が代表を務める資金管理団体「新時代政策研究会」が2024年9月に宣伝広告費として同社に3330万円を支出していることから、高市陣営との深いつながりがうかがえます。
話題となっている歯ブラシは2本セット、2個のスタンド付きで限定200本が販売されており、高市氏自身も愛用しているとされています。歯ブラシには「日本列島を、強く豊かに」「Fight On!! Sanae For Japan」というキャッチコピーがそれぞれ刻印されています。製造元は奈良県の老舗メーカーで、通常は500円から1500円程度の歯ブラシや1個500円のスタンドを販売しており、今回の価格設定は特異なものと言えるでしょう。
このストアでは歯ブラシ以外にも、高市氏の写真と「Japan is back」のキャッチコピーがプリントされたアパレル商品も販売されています。「Japan is back トレーナー」が1万3200円、「Japan is back ハット」が1万4300円、「Japan is back キャップ」が1万3200円と、こちらも高額な価格設定となっています。ストアの説明によると、これらのグッズの売り上げはVeanas号の運用資金に充てられるとされています。
高市早苗氏の事務所公認グッズとして販売されている高額な歯ブラシ
「アイドルじゃあるまいし」 SNSでの批判と他党グッズとの比較
高市氏のグッズの“強気な”価格設定に対しては、X(旧Twitter)上で批判的な声が多数上がっています。「アイドルじゃあるまいし正気の沙汰じゃぁないですね」「いくらなんでも…」といったコメントが散見され、政治家の公式グッズとしては高額すぎるという意見が目立ちます。
他の政党が販売している公式グッズと比較すると、価格の差はさらに顕著です。例えば、参政党のストアでは「参政党応援ジャンパー5枚セット」が1万円、「冬物セット」(Tシャツ、ニット帽、マフラー、ブランケット3枚)も1万円で販売されています。また、国民民主党はジャンパーやTシャツ、ポロシャツを5000円前後で提供。れいわ新選組はTシャツを1000円から3000円で販売しており、高市氏のグッズと比較するとかなり控えめな価格設定です。高市氏のグッズは事務所公認とはいえ、Veanas号を運営する有志による企画であるため単純な比較はできませんが、他の政党の公式グッズと比べると価格に大きな隔たりがあるのは事実です。
事務所の沈黙と今後の行方
こうした批判的な声が上がる中、本誌は12月20日、奈良県にある高市氏の「第二選挙区支部事務所」(Veanas合同会社と同所在地)に対し、グッズに関する取材を電話で申し入れました。しかし、担当者は「お話しする必要がないことです」と述べるに留まり、コメントを拒否しました。
これらの高額グッズの販売は、Veanas号の運用資金確保を目的としているとされていますが、その価格設定や事務所の対応は、政治資金の透明性や有権者の理解という点で引き続き議論を呼びそうです。今回の件が、今後の政治家グッズのあり方や、政治家と支持者コミュニティの関わり方にどのような影響を与えるか、注目が集まります。





