女性初の首相として高い支持率からスタートした高市早苗政権。10月21日の政権発足から11月初めの段階までは、国際会議への出席や2国間の首脳会談という外交がほとんどの仕事だった。その中でこの政権の危うさを早くも示した一つの言動があった。10月28日の日米首脳会談で、高市首相がトランプ米大統領をノーベル平和賞に推薦すると伝えたことだ。野党だけではなく、自民党の重鎮である船田元・同党衆議院議員総会長も「取り消すべきだ」との考えを示した。
ノーベル平和賞推薦の発言をメディアに伝えたのは日本政府ではない。首相官邸も外務省も、日米首脳会談で高市首相がこの発言をしたことについては、一切明らかにしていない。
明らかにしたのは、米側である。米ホワイトハウスのレビット報道官が首脳会談後、高市首相が「トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦する」と発言したことを報道陣に説明した。首相は会談冒頭で、トランプ氏が仲介したとしているタイとカンボジアの停戦や、パレスチナ自治区ガザ地区をめぐる和平合意について「かつてない歴史的偉業」と称賛した。会談の場から記者団が出た後に、ノーベル平和賞推薦の発言があったようだ。
この発言を知った野党からは即時に厳しい批判が相次いだ。
首脳会談の後、日本共産党の小池晃書記局長は緊急に記者会見を開催し、首脳会談の評価について細かく説明した。その中でノーベル平和賞の推薦について記者団から問われ、こう答えた。
「(トランプ大統領は)ノーベル平和賞とは最も縁遠い人なのではないか。国連憲章、国際法、これまでの国際秩序に背を向けてきたのがトランプ大統領ですから。そういう発言を日本の首相が行なうということは、それはいかがなものか。間違ったメッセージになっていく」
記者会見に臨んだ立憲民主党の安住淳幹事長も10月28日、厳しい受け止めを示した。
「首脳会談の手土産にするような内容の話ではないような気がします。欧州諸国の首脳、各国の対応を見ますと、そんなことをトランプ大統領におっしゃる国はないんですよ。なにをもってそういう話なのか。リップサービスなのか」






