「役の性根を出せたら」武智光秀演じる中村歌昇





歌舞伎役者の中村歌昇=国立劇場(酒巻俊介撮影)

 来年40周年となる若手歌舞伎俳優の登竜門「新春浅草歌舞伎」(1月2~26日)が東京・浅草公会堂で開催される。「絵本太功記(えほんたいこうき)」の武智光秀など昼夜合わせて4役を演じる中村歌昇(30)が、舞台に寄せる思いや抱負を語った。

 今回、初役の武智光秀は一般的に座頭がやる役とされ、指導は中村吉右衛門。「大きなお役。浅草でやらせていただけるとは夢にも思っていなかった。播磨屋にとっても大切な演目」と意気込んだ。

 特に「子供を合戦に行かせる親の心情とか、こまやかな心理描写、性根といったことを吉右衛門のおじさまからしっかり教わりたい」と話していた。

 若手の出演者は尾上松也(34)を除いて、みな平成生まれ。「毎回、松也兄さんをそれでいじっている。でもあまり年齢とかは考えないようにしている。歌舞伎役者は四十になっても若手と呼ばれるので」という。

 而立(じりつ)の歳(とし)となった自身について、「まだまだ足りない。もう少し歌舞伎らしいものが出せたらと思う。古典の良さであったり、役の性根であったり。魅力ある役者に見られるよう精進したい」と謙遜しきり。

 「ここ2年ぐらい、ひと月も休まず毎月芝居に出させていただいている。それを来年も続けられたら。若いということは可能性も無限にあると思うが、自分の努力次第でいろいろと見識を深めることも大事。一人の人間として大きく成長する年にしたい」と語った。(水沼啓子)



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