パナソニックは、中国市場で冷凍・冷蔵事業を強化する。現地での食の安全意識の高まりを受け、生鮮食品の鮮度を保つ物流倉庫や宅配ロッカーを投入。2022年の北京冬季五輪に向けてスケートリンクの製氷に使う機器も手掛ける。「冷やす」技術を武器に、中国で冷凍・冷蔵事業の売上規模を現在の310億円から25年には倍増させる方針だ。
これまでパナソニックの冷凍・冷蔵事業は、スーパーやコンビニエンスストアの売り場に置かれているショーケースや、厨房(ちゅうぼう)機器を中心に展開してきた。現在、経済成長に伴って中国でも食の安全志向やフードロスへの意識が増している中で、低温で商品を管理する「コールドチェーン」のビジネスを拡大。冷凍物流倉庫の工事元請けや、食品の宅配サービスに対応した冷蔵機能付きロッカーなどの取り扱いを始めた。
コールドチェーン物流は、12日閉幕した、中国共産党と政府が20年の経済政策を議論する中央経済工作会議で「建設を強化する」との方針が表明された。市場拡大が見込まれる。
また、冬季五輪開催で成長が期待される冬のスポーツ向け事業も強化。08年の北京夏季五輪で「水立方(ウオーターキューブ)」の愛称で水泳競技が行われた国家水泳センターが22年の冬季五輪ではカーリング会場になるが、パナソニックは同会場向けに氷を張るための冷凍機を納入。室内向けの人工降雪機も受注するなど、こういった日本ではほとんど手掛けていない事業を拡大させる。
パナソニックの社内カンパニー「中国・北東アジア社」の横尾定顕副社長は北京で取材に応じ、「冷やすという技術を核に、日本でやっていないことにも積極的に取り組む」と意気込みを語った。(北京 三塚聖平)