トランプ米政権、タリバンとの和平思惑通りにいかず アフガン情勢





24日、米フロリダ州パームビーチの別荘「マールアラーゴ」で話すトランプ大統領(AP=共同)

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権は、アフガニスタン大統領選でガニ大統領が再選の運びとなったのを受け、引き続きガニ政権とアフガン和平に向けた取り組みを進めていく考えだ。しかし、アフガン北部クンドゥズ州では23日、駐留米軍の兵士1人がイスラム原理主義勢力タリバンとの戦闘で死亡するなど、和平協議が米政権の思惑通り進展する保証はない。

 国防総省は声明で、米兵1人が戦闘中の負傷が原因で23日に死亡したと発表した。タリバンの広報担当者は、米兵を簡易手製爆弾(IED)攻撃で殺害したとし、米兵の身分証と血染めのリュックサックをツイッターで公表した。

 アフガニスタンなどでの「終わりなき戦争」の終結を公約に掲げるトランプ大統領は、タリバンとの和平を模索。昨年7月からの和平協議では、駐留米軍の大規模撤収や「包括的停戦」で合意寸前に達していたが、今年9月にタリバンが米兵を殺害したことを理由に協議を打ち切った。

 だが、トランプ氏は11月28日、アフガンを初訪問し、「タリバンは停戦を求めている」と述べ、和平協議を再開させた。

 米政権が9月に和平協議を打ち切ったのは、当時のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)ら一部のホワイトハウス高官が合意内容はアフガン情勢の不安定化につながる恐れが高いなどとして合意締結に反対したためでもある。

 しかし、ボルトン氏はその後間もなくして辞任。来年の米大統領選で再選を目指すトランプ氏としては、米軍撤収の公約を果たして有権者の支持の上積みを図るため協議再開に踏み切った可能性がある。

 しかし、米政権は今月13日、タリバンがアフガンの首都カブール北郊にあるバグラム米空軍基地に攻撃を仕掛け、70人以上を死傷させたとして、協議の一時中断を表明。米政権としてはタリバンのペースで和平協議が運ばれることのないよう慎重に対応していくとみられる。



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