イーロン・マスク氏とトランプ前大統領、対立から和解への動き

米電気自動車(EV)メーカー、テスラの最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏と、ドナルド・トランプ前大統領との間で激しい応酬があった後、マスク氏が両者の対立を沈静化させる姿勢を示した。両氏は最近まで、公の場で鋭く衝突し、関係悪化が鮮明になっていた。

対立の発端とマスク氏の主張

この応酬は、マスク氏が5日にX(旧ツイッター)上で、性犯罪で起訴され勾留中に死亡したジェフリー・エプスタイン元被告に関する資料の公開をトランプ氏が妨げているのは、トランプ氏自身の名前が資料に記されているためだと主張したことに始まる。マスク氏はさらに、トランプ氏の弾劾を呼びかける投稿を行った。

トランプ氏の反撃と政府契約への言及

これに対し、トランプ氏は即座に反撃。マスク氏が率いる企業(スペースXなど)への政府契約の打ち切りを検討する意向を表明した。トランプ氏は、「われわれの予算から何十億ドルも節約する最も簡単な方法は、イーロンに対する政府補助金と契約を打ち切ることだ。バイデンがこれをやらなかったことは常に驚きだった」と述べた。この応酬の発端は、かつてトランプ氏の助言者であったマスク氏が、トランプ氏の看板政策である大型減税・歳出法案について、財政赤字拡大の懸念から共和党は反対すべきだと繰り返し訴えていたことにある。

米著名実業家イーロン・マスク氏とドナルド・トランプ前米大統領米著名実業家イーロン・マスク氏とドナルド・トランプ前米大統領

態度の軟化とX上でのやり取り

こうした激しいやり取りが展開される中、マスク氏は国際宇宙ステーション(ISS)への貨物や人員輸送に使われてきたスペースXの宇宙船「ドラゴン」を退役させると突如表明した。しかし、そのわずか数時間後に態度を軟化させる動きを見せ、トランプ氏との間に冷却期間を設ける可能性を示唆した。マスク氏のXの投稿に対し、フォロワー数が約200人のユーザーが「こんなやり取りは残念だ。あなた方は二人とももっと優れている。頭を冷やして、数日距離を置いたほうがいい」と返信した。

このユーザーの助言に対し、マスク氏は「良いアドバイスだ」と応じ、「分かった。ドラゴンは退役させない」とコメントした。さらに、トランプ氏とマスク氏の双方と親しい著名投資家ビル・アックマン氏が「われわれの偉大な国のために和解すべきだ」と投稿すると、マスク氏はこれにも「あなたは間違っていない」と肯定的な返信をした。これらのやり取りは、マスク氏が一旦ヒートアップした対立から一歩引く姿勢に転じたことを明確に示している。

結論

イーロン・マスク氏とドナルド・トランプ前大統領との間の公然とした対立は、一見すると深刻な関係悪化を示唆していた。しかし、マスク氏が短時間で態度を軟化させ、冷却期間や和解の必要性を示唆する姿勢に転じたことで、両者の関係は再び複雑な局面を迎えている。ビジネス界と政治界の超大物である二人の関係の行方は、今後も注目される。

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