道を教えてもらったお礼として、抱きついたり握手した隙に腕時計や財布のすりを繰り返した窃盗団が、大阪府警に逮捕された。繁華街で、「ロレックス」などの高級腕時計をしている酒に酔った人たちを狙った悪質で巧妙な手口。府警は「飲み会が多くなる年末年始、自身が狙われるかもしれないと思って警戒してほしい」と注意を呼びかける。
■道尋ね時計を確認
「淀屋橋はどこですか」。平成３０年末の未明。大阪ミナミの繁華街にほど近い大阪市内の路上で、若い男２人組が酒に酔った中年男性に道を尋ねた。親切心から男性は大阪市役所（同市北区）近くの淀屋橋方向を指さす。
その腕に、高級腕時計があるのを男２人は見逃さなかった。男の１人は調子よく「ありがとうございます、社長！」などと男性に抱きつく。その間に、もう１人が腕時計をした手に両手で握手を求め、その隙に約３０万円の腕時計を抜き取った。男性は時計を盗まれていたことに気付かなかった。
■１日３０人に声かけ
こうした手口で昨年２月～今年７月までの間、高級腕時計を繰り返し盗み、転売したとして、府警捜査３課は１２月、窃盗容疑などで同市阿倍野区の無職、出野竜平被告（２２）＝窃盗罪で起訴＝ら、男６人（２２～４６歳）を逮捕、送検したと発表。同課によると、大阪の繁華街のキタやミナミでの２２件、総額約１２００万円の被害を裏付けたという。
